外を知らず警戒心が高まっている猫は、外の環境と人を恐れますので、外に出てしばらくは暗くて狭くて奥が深い場所に潜り込んでじっと隠れていますが、どんなに警戒心が強い猫でも、外に出て数日経過すると空腹に耐えかねて、隠れた場所からひとけのない時間帯にこっそり出てきてまた隠れることを繰り返しながら、雨を避け、暑さ寒さをしのぎ、少しずつ移動していきます。
近隣に迷子チラシをポスティングしても目撃情報がない場合は、自宅近くにはもういないと考え、近所を捜し歩くのではなく、迷子チラシをさらに広範囲にポスティングし、見かけたら連絡がもらえる体制をつくっていきます。
迷子の猫がはやくおうちに帰れますように。
いなくなってから日にちがたっていますので、迷子チラシをまず半径300mまで1軒の漏れもないようポスティングし、見かけたら連絡がもらえる体制をつくっていきます。
目撃情報がなければ、ポスティング範囲を半径500mまで拡げます。
一戸建ての多い住宅地であれば、およそ2,000枚の迷子チラシが必要になります。
猫は住居敷地内に隠れていたり、庭や家と家の間の塀の上など道路からは見えにくい裏手で行動したりしていることが多いため、道路から見つけるよりも住人の方が自宅で目撃する可能性のほうが高いです。
また、猫が移動して捜索範囲がひろくなってしまっている場合は、ひとりで捜し歩いても出会えるのは運頼りになってしまいますので、道から目視で捜しながら、迷子チラシをポスティングしていきます。迷子チラシをポスティングすることで、捜し歩いたときには出会えなくても、地域住民の方が見かけたら連絡をくださる体制ができあがっていきます。隙間なく迷子チラシをポスティングすることで地域に網を張り、どこに移動しても目撃されるような状況を作っていきます。
万一、怪我や病気で衰弱しているところを保護してくださった方がいれば、その猫が捜している猫であることを知っていただくこともできます。どこかの餌場に寄りついていれば、その猫が捜している猫であることを知っていただくこともできます。
迷子チラシの目撃情報から保護に繋がるケースはとても多いです。
はじめて迷子チラシを作成される飼い主さんは、うちの猫のことを少しでも多く知ってもらいたくて、写真や文章をたくさん書いてしまいがちですが、これは逆効果です。写真や文章が多すぎると結局なにも覚えてもらえず、見かけても連絡がもらえなかったり、色が似ているだけの猫の目撃情報に振りまわされたりすることになります。
例えば、うちのキジトラ猫の特徴がカギしっぽと右耳カットだった場合、「しっぽの曲がったキジトラ猫」と大きく書き、しっぽと耳カットがわかる写真を添えます。それ以外の情報を割愛することで、キャッチコピーである「しっぽの曲がったキジトラ猫」を覚えていただきます。また迷子チラシには、目撃情報の信憑性をあげるために「できれば写真を撮ってください」と記載します。
(ご参考)情報を絞ったシンプルな迷子チラシのデザインの参考に
ペットレスキューでも、似た猫を見かけた人が迷わず電話をくださるような、シンプルな迷子チラシのデザイン・印刷のご依頼をお受けしておりますので、お申し付けください。
目撃情報を得るために、迷子チラシはゼンリンの住宅地図に記録しながら1軒の漏れもないようにポスティングすることが大切です。
ポスティングの範囲は、目撃情報が入ってくるまで拡げていきます。
目安としていなくなってから
・7日以内であれば半径300mまで
・1ケ月以内であれば半径500mまで
・1ケ月以上であれば半径1kmまで
漏れなくポスティングします。
一戸建ての多い住宅地であれば、半径300mでおよそ1,000枚必要になります。さらに範囲を拡げることもあるため、私たちが出張捜索を行うさいは一度に2,000枚は注文するようにしています。
迷子チラシには、ポスティングしやすい B5 サイズ・薄紙(73kg)、写真がきれいな光沢紙(コート)が適しています。
注文してから手元に届くまでに早くても2~4日かかりますので、うちの猫が見つかり無駄になったらよかったと思い、はやめに注文します。
ラクスル、グラフィック、プリントパックなどはネットで印刷を発注することができ、納期もはやいです。
(ご参考) ご自宅から半径300mに何世帯あるかは、ポスティング業者さまのサイトからお調べいただくこともできます。
ペットレスキューでも、似た猫を見かけた人が迷わず電話をくださるような、シンプルな迷子チラシのデザイン・印刷のご依頼をお受けしておりますので、お申し付けください。
①日中、迷子チラシを猫がいなくなった場所周辺全戸に、近場から1軒の漏れもないようポスティングしていきます。お住まいの方にお話を聞きながらでは時間がかかりますので、郵便受けに次々入れていきます。ポスティングをしながら庭先などを目視で捜します。
②闇雲にポスティングせず、ブロックごとにポスティングを進め、ゼンリンの住宅地図にポスティングした家、空き家など猫が隠れそうな場所、餌やりさんの餌場、外猫の特徴と居場所の情報を書き込みながら計画的にポスティングをします。
③チラシの投函が禁止されているマンションは、掲示板に迷子チラシを貼っていただけるよう管理人さんにお願いしてみてください。
④郵便受けに「チラシお断り」と表示されている場合は投函を控えます。また、チラシや郵便物が詰まっている郵便受けへは投函しません。
⑤目撃情報が入ってくるまで、広い道路や川向こうは後回しにして、全方向にチラシのポスティング範囲を拡げていきます。
⑥迷子チラシのポスティングは、100枚におよそ1時間かかります。お手伝いをお願いできる人がいたら、手分けして進めてください。
迷子チラシのポスティングを人にお願いするさいは、ポスティングして欲しいブロックをマーカーペンで囲ったゼンリンの住宅地図を一緒に渡して、ポスティング記録を書き込んでいただくようお願いしてください。ポスティングが完了したら住宅地図を回収します。住宅地図で全体のポスティング記録を把握できるようにしておかないと、どこにポスティングしたのかがわからなくなります。
迷子チラシをポスティングしているのに目撃情報がまったく入ってこない場合は、以下の原因が考えられますので、それぞれに対策をとっていきます。
①迷子チラシのポスティングに漏れがある
迷子チラシをポスティングしていないお宅の庭や軒下にうちの猫がいた場合、そのお宅にお住まいの方に目撃されていても連絡がもらえません。
>ゼンリンの住宅地図に記録しながら、再度1軒の漏れもないようにポスティングをします。
②怖くて隠れているため、目撃されない
警戒心が強く人や外の環境が怖くて隠れている場合、数日から数週間、隠れた場所からほとんど出てこない猫もいます。目撃情報がないのは遠くに移動したからではなく、近くに隠れてひとけのある時間帯に出てこないために目撃されていないケースがあります。
>近隣の敷地に入れさせていただき、軒下、物置の中、簡易物置の下、ウッドデッキの下など猫が潜り込めるスペースを懐中電灯を使い徹底的に捜してください。
>いつまでも隠れて何も食べないわけにはいきませんので、やがて水と餌を求めて恐る恐る、隠れた場所からひとけのない時間帯にこっそり出てきて、また隠れることを繰り返すようになります。出てくればいずれ人目につきますので、いなくなった場所周辺に迷子チラシを漏れなくポスティングして情報を待ちます。
③迷子チラシをポスティングした範囲を出てしまっている
他の猫に追われたり、落ち着く場所や餌を求めて、または家に帰ろうと間違った方角に移動を続けたりしているうちに、迷子チラシをポスティングした範囲より外に出てしまっていることがあります。
>ポスティングの範囲を目撃情報が入ってくるまで拡げます。
目安としていなくなってから
・7日以内であれば半径300mまで
・1ケ月以内であれば半径500mまで
・1ケ月以上であれば半径1kmまで
漏れなくポスティングします。
外に慣れている猫ほど移動することに躊躇がありませんが、猫はどこまでも移動を続けることはなく、およそ1ケ月もしないうちにコンスタントに食餌が摂れる餌場を見つけ、そこに定着します。
④うちの猫の特徴が覚えてもらえない
特徴が覚えてもらえない、またはもともと似た猫がいるのでその猫と思われ連絡がもらえない。
>うちの猫の特徴を覚えてもらいやすい迷子チラシに作り変えます。
(ご参考)情報を絞ったシンプルな迷子チラシのデザインの参考に
ペットレスキューでも、似た猫を見かけた人が迷わず電話をくださるような、シンプルな迷子チラシのデザイン・印刷のご依頼をお受けしておりますので、お申し付けください。
⑤迷子チラシを受け取った方に目撃されているのに連絡がもらえない
迷子チラシを見て心配してくださるのはご年配の方も多く、メールアドレスやSNSのアカウントでは連絡がもらえないことがあります。連絡先がペット探偵社のフリーダイヤルになっていると、契約終了後忙しい探偵社さんだと目撃情報を飼い主さんに伝えるのが遅くなることがあるかも知れません。
>連絡先を飼い主さんの携帯電話番号に変更した迷子チラシに作り変えます。
⑥迷子チラシが捨てられている
日にちがたち迷子チラシが捨てられてしまい、連絡先の電話番号がわからなくなっている。
>2週間以上間隔を開けて、もう1度だけ同じ地域に迷子チラシをポスティングします。
⑦どこかのお宅で保護、または飼われてしまい外を出歩いていない
首輪をしていない、または外れてしまった場合、餌をあげてくださる方が野良猫と思い、そのまま室内で飼育されるケースがあります。そうなると外を出歩くことがなくなるため、目撃情報が入ってきません。老人ホームや倉庫の敷地内で飼われていたケースもありました。人懐っこい猫ほど誰かに飼われてしまう可能性があります。
>迷子チラシを漏れなくポスティングして、その猫が捜しているうちの猫であることを知ってもらいます。
目安としていなくなってから
・1ケ月以内であれば半径500mまで
・1ケ月以上であれば半径1kmまで
漏れなくポスティングします。
>室内で飼育すると決めた方の多くは、猫を動物病院に連れていきノミ・ダニや感染症の検査をしますので、少なくとも半径5km圏内の動物病院にはすべて迷子チラシを持っていき、できれば受付に貼っていただけるようお願いをします
⑧人が介在して遠くまで運ばれてしまった
稀なケースではありますが、おそらく車の荷台に乗ってしまい3km離れた場所で見つかったケースや、具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースもありました。
>迷子チラシのポスティングを進めつつ、ポスティング範囲よりも外への情報発信としてSNSを活用します。
⑨怪我や衰弱で行政機関に保護されている
>地域の交番、保健所、動物愛護センターに継続的に問い合わせをします。
自由外出猫のオスとメスでは普段の生活圏の広さに違いがありますが、これと迷子になってからの移動距離はまったく別のものと考えてください。
自然豊かな環境であればオスとメスの行動範囲に差がありますが、住宅地では車の交通量の多さ、適した住処の少なさ、与えてもらえる餌場等の事情により、狭い範囲の中で他の猫と生活圏を分かち合いながら猫たちは生きています。迷子になった猫は、すでにできあがっている他の猫たちの生活圏に入っていくことになりますので、よく言われる「オスのメスの移動距離の違い」は、迷子を捜す場合にはそのまま当てはめることができません。
また他の猫との接触など突発的なできごとや、近くに安心して身を隠す場所が見つからないなど、さまざまな要因が移動距離に影響を与えます。
迷子捜しでは性別による違いよりも、これまでの生い立ち、今の生活環境、性格、まわりの環境、いなくなってからの日にちによって行動パターンと移動距離が違ってくることを考慮して、捜索範囲を決めていく必要があります。
①仔猫期(0-6ケ月)
母親と行動を共にしている期間なので、餌をキープ出来る場所を基点とした仔猫に負担のない狭い範囲で暮らしています。体の小さい仔猫が行方不明になってしまった場合、一帯をテリトリーとしている成猫に攻撃されて、安心できる場所に隠れそこから動けずにしばらく留まっているか、追われてやむをえず移動します。
若さゆえに好奇心も旺盛なため、物音や気配を確認しに隠れている場所から出てきてはまた潜むというような行動パターンになります。生まれながらに生得的に備わった感覚、母猫から教わった知識はありますが、まだ経験値が少ないため判断能力は劣ります。
失踪直後は自宅付近に隠れている可能性が高いので、懐中電灯を使って徹底的に潜り込めそうな箇所を確認してください。
②成猫期(7ケ月-10歳)
テリトリー意識が芽生え体力的にも自信がある年齢なので、本能に従い精力的に行動します。潜伏場所、餌場、他の猫との関係性等により変化しますが、生涯を通して最も活発に行動する傾向にあります。特に発情による異性間との交流、テリトリー内の巡回や争い、餌場の確保、子育てに関連した行動が主になります。
③高齢期(11歳-14歳)
心身共に落ち着いた行動パターンになってきます。好奇心によって行動することも少なくなり、日常と同じサイクルで過ごすことを好む傾向にあります。異性を積極的に求め移動したり、テリトリー争いをしたりする機会も減り穏やかに生活するようになります。
④後期高齢期(15歳以上)
高齢になり足腰が弱くなっていると、高い場所に上がったり、遠くに移動したりすることができなくなります。死期が迫ってきた時に普段は寝てばかりいる猫が急に外に出て姿を消してしまうことがありますが、自分の死期を察してというよりは本能的に外敵から身を守るためより適した潜伏場所を求めての行動だと思われます。
また服薬治療中で薬が切れるとすぐに重い病気の症状が現われる猫の場合は、遠くには行けずいなくなった場所のごく近くで安心出来る場所を見つけて潜り込もうとします。
具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースもありますので、少なくとも半径5km圏内の動物病院にはすべて迷子チラシを持っていき、できれば受付に貼っていただけるようお願いをします。
年齢による行動パターンに関しては個体差があり、性格や身体的な要因により異なります。高齢の猫が想像したよりも遠方まで移動していたり、若く身体能力にも恵まれた猫がほとんど移動せずに近場で発見されたりするケースも頻繁にあるため、年齢だけでなく、これまでの生い立ち、今の生活環境、性格、まわりの環境、いなくなってからの日にちなども考慮し、捜索範囲と作業内容を決めていきます。
猫にもよりますが、一緒に暮らしている猫がいるほうが、外で猫に出会ったときの近づき方や距離のとり方を心得ています。
相手の猫との相性にもよりますので一概には言えませんが、他の猫がいる餌場で餌にありつけたり、他の猫のテリトリーに入って追いかけられたりするトラブルは少ない傾向があります。
猫どうしは好んで争ったりはしませんので、多くの場合は出会ってもお互いに距離を取りやりすごします。
①ただ、近所に野良のボス的な猫がいる場合は、自分のテリトリーから出ていくように追い払われることがあります。近所の聞き込みをするさい、最近猫の争う声を聞かなかったかも確認します。
②もし野良猫や地域猫がたくさんいる場合は、近くに餌場があります。うちの猫が他の猫とコミュニケーションが取れるようであれば、餌場にいつくかも知れません。餌が出しっぱなしになっている場合は、他の猫がいない間に食べているかも知れません。餌をあげておられる方が、「新しい猫は来ていない」と言われる場合でも、その方が見ていない時間帯に食べに来ていることはありますので、できれば許可を得て餌場にトレイルカメラを置かしてもらいましょう。
③もし近所にうちの猫と似た毛色・柄の猫がいる場合は、その猫の目撃情報が入ってくるようになりますので、その猫とは違ううちの猫の特徴を強調する迷子チラシのデザインにする必要があります。
イエネコの祖先は単独性のリビアヤマネコになり、先祖から身体的能力や思考において濃い影響を受けてはいますが、柔軟に変化して人や同種の猫たちと共存出来る社会性を身につけてきました。
単独性の野生種に比べイエネコの場合は個体密生度が高い生活環境で生活しているため、同種の猫に対して(体力、知力、地位)等を(外見、匂い、ボディランゲージ)などで分析し、また他の猫同士の接触を客観的に観測して自身に当てはめ優劣を推論しています。
また尿による情報交換、更に刺激臭と分泌物が含まれるスプレー、爪とぎの際に指間腺から分泌される臭い、体の皮膚から分泌される皮膚腺、糞便等によるコミュニケーションを利用しています。
通常猫は、迷子犬ほど遠方まで移動することはありませんが、おそらく車の荷台に乗ってしまって3km離れた場所で見つかったケースや、具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースや、拾われて老人ホームでお世話になっていたケースもありました。人が介在した場合に猫は遠方まで移動してしまうことがあります。
SNSでの情報発信は、そういった遠方の方に猫を捜していることを知っていただくのに有効です。
ただし、猫が遠方で見つかるのは稀なケースです。狭い範囲に隠れていることが多い迷子猫の場合、やはり迷子チラシを隙間なくポスティングしていくことが一番効果があります。迷子チラシなら、捜索範囲内のすべての住民の方に迷子のことを知ってもらうことが可能です。迷子チラシのポスティングを進めつつ、ポスティング範囲よりさらに外への情報発信としてSNSを活用するのが効果的です。
一方デメリットとして、不特定多数の人が目にするSNSでの拡散は、長期化すると目撃情報だけでなく自分の体験談や知識を披露したり、捜索の進捗を細かく聞いてくる人が増え、その対応に時間を取られることがあります。なかには心ない誹謗中傷が送られてくることもありますので、SNSで迷子猫の情報を発信されるのであれば、できればSNSの管理は他の人に頼むほうが捜索のための気力を保つことができます。
そういった捜索に寄与しないやりとりや誹謗中傷の心配の少ないSNSに、株式会社ほぼ日が運営する犬猫SNS「ドコノコ」があります。ドコノコの迷子掲示板は、情報の拡散よりも、現場での捜索協力に重きをおいた「参加型迷子掲示板」です。迷子チラシのポスティングや目撃場所付近の見回りなど飼い主さんだけでは時間がとれない作業のお手伝いをお願いすることができます。ツイッターやインスタほど多くのユーザーはいませんが、ユーザーは犬猫好きで迷子捜し経験者も多いので、きっと心強いと思います。
もしまだなら、行政機関にはやめに届けを出しておきます。
健康な猫は犬と違って基本的に警察署、保健所、動物愛護センターなどの行政機関に保護されることはありませんが、怪我や衰弱をしている場合は保護されることがありますので、もしもに備えてはやめに届けを出しておきます。
行政機関に保護されても首輪に連絡先が記載されていなければ連絡がもらえるとは限りませんので、届出してからも継続的に収容情報を確認する必要があります。
①地域の交番・警察署
警察署では、迷子の猫は落とし物(遺失物)として扱われます。
地域の方が迷子を保護した場合は、最寄りの警察署に拾い物(拾得物)として届けることが多いので、昼夜を問わず警察署に確認をしてください。
警察署に迷子の届けがない場合は、届けられたときに知らせてもらえるよう「遺失届」を出しておきます。
警察署では動物を長期間預かることはできないので、保健所または動物愛護センターに移送されます。
②市区町村の保健所・生活衛生課管理係
猫が迷子になった場所の市区町村にある保健所へ連絡して、うちの猫が収容されていないかを確認します。外観が似た猫が収容されている場合は、保健所へ行って確認します。
捜している猫がいない場合は、迷子の届出をしておきます。
警察署や保健所は地域ごとに管轄がわかれていて、情報が共有されていない場合もありますので、いなくなった場所だけでなく、隣接する場所の警察署や保健所にも確認する必要があります。
③都道府県の動物愛護センター
都道府県にある動物愛護センターでは、警察署や保健所から移送された動物が収容されます。
電話で迷子の届けを出してください。写真や特徴の書かれた迷子チラシがあれば、センターで迷子の確認がしやすくなりますので、電話で届けを出したあとに迷子チラシを作成して送りましょう。センターによっては手渡しや郵送だけでなくメールでもチラシを受け取ってくれるところがあります。
④地域の清掃事務所
とても残念なことですが、車にひかれるなどして路上で遺体になった場合、最寄りの清掃事務所に回収され焼却されることがあります。
清掃事務所は道路ごとに異なっていて、国道と高速道路は国土交通省、県道は都道府県、市町村道は市町村と管轄がわかれているため、全ての事務所に確認する必要があります。
回収された場合、通常2日~3日で焼却され記録は残りませんので早めに電話で確認する必要があります。
⑤地域の動物病院
怪我や衰弱をしているところを保護され運び込まれることがありますので、電話で確認します。地域の犬や猫の飼い主さんたちに迷子のことを知っていただくために、迷子チラシを受付に掲示していただけるようお願いに行きます。
具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースもありますので、少なくとも半径5km圏内の動物病院にはすべて迷子チラシを持っていき、できれば受付に貼っていただけるようお願いをします。
行政機関に保護されても首輪に連絡先が記載されていなければ連絡がもらえるとは限りませんので、届出してからも継続的に収容情報を確認する必要があります。
①地域の交番・警察署
保護された猫が連絡先の記載された首輪をしていれば連絡をもらえますが、していない場合やしていても外れてしまっている場合は連絡がもらえません。
警察署に迷子の猫の届出があった場合は、「拾得物」として公開されますので、うちの猫の可能性がある場合は保護されている場所を教えていただき直接確認に行きます。
拾得物の公開方法は自治体によって違いがありますので、警察署で確認をしてください。
②市区町村の保健所・生活衛生課管理係、都道府県の動物愛護センター
保護された猫が連絡先の記載された首輪をしていれば連絡をもらえますが、していない場合やしていても外れてしまっている場合は連絡がもらえません。
保護された猫の情報は公開されますので、うちの猫の可能性がある場合は直接確認に行きます。
収容動物情報の公開方法は自治体によって違いがありますので、保健所と動物愛護センターに確認をしてください。
また、マイクロチップが埋め込まれていても以下の場合は連絡がもらえません。
・登録先が日本獣医師会(AIPO)ではない場合:
ペットショップが日本獣医師会(AIPO)ではなく、自社のデータベースにマイクロチップ情報を登録していた場合、動物病院や行政機関との連携がありませんので、保護されても連絡をもらうことができません。
・飼い主さんの連絡先情報が更新されていない場合:
マイクロチップの登録後に電話番号や住所が変わっていると、保護されても連絡がつかないかも知れません。
うちの猫のマイクロチップが日本獣医師会(AIPO)に登録されているか、電話番号や住所が更新されているかは、環境省 犬と猫のマイクロチップ情報登録>犬や猫の飼い主の方>登録事項の確認・変更 から確認することができます。
③地域の清掃事務所
残念ながら、猫を回収したとしても飼い主さんに連絡することは清掃事務所の業務ではありません。通常、首輪をしていたとしても確認されることはありません。連絡をくださる事務所の方もおられますが、それは担当の方のお気持ちによるものです。
つらいことではありますが、飼い主さんが継続的に確認をする必要があります。
また、個人や法人の敷地内で発見された場合は清掃事務所が回収することはありませんので、記録は残りません。
目撃情報が入ったら、現場に行って確認し、保護します。
目撃情報の電話はいきなりかかってきます。かかってきたときに慌てないよう、予め以下の項目を手帳などにメモして、いつでも取り出して見られるようにしておくと便利です。
電話がかかってきたら丁重にお礼をしてから、以下の聞き取りとお願いをします。
①迷子チラシを見た方から電話がかかってきたら、目撃日時(いつ見たか、いつから見かけるようになったか)、目撃場所、目撃したときの様子、どこからどこへ向かって行ったかを聞き取ります。猫の特徴は、こちらから「右耳がさくらカットでしたか?」などと誘導するような質問をせずに、先方の覚えておられることを教えていただくようにします。
②写真がある場合はSMSなどで送ってもらいます。写真で確認することで信憑性が高まります。
③電話をくださった方の名前を聞き、こちらからも連絡させてもらえるようお願いし関係を維持します。もしまた見かけたら写真を撮っていただけるようにお願いをします。
④スマホの電話帳に保存した連絡先に、「目撃情報 曙1丁目ヤマダさま」などと情報を追加しておくと、次回かかってきたときに、誰からの電話かがわかりやすくなります。
携帯するもの:迷子チラシ、懐中電灯、好物のオヤツ、キャリーバッグ、餌、トレイルカメラ
①目撃情報は大変貴重です。通常、どんどん電話がかかってくることはなく、数件の情報からうちの猫の居場所を突き止めていくことになります。そのため、外観が明らかに違う、場所が遠すぎるなどでない限り、ていねいに1件ずつ確実に確認をしていきます。
②目撃情報のあった場所に迷子チラシと好物のオヤツ、キャリーバッグを持ってできるだけ早く行き、その付近を集中的に捜します。可能であれば目撃電話をくださった方に同行していただき、目撃したときの状況を教えていただきます。
③すぐに出会えない場合は、近隣の方に迷子チラシを渡して聞き込みをします。迷子チラシの写真に似た猫を見かけていないか、見かけている場合はいつから見かけるようになったか(迷子になる前から見かけている場合は違う猫の可能性があります)、近くに餌場がないかなどの聞き込みをします。餌場があれば、餌をあげておられる方にお会いして話を聞きます。
④現場に行ってもなかなか出会うことができない場合は、餌の匂いで隠れている場所から誘い出しトレイルカメラで撮影する方法で確認します。
・目撃情報があった場所のまわりで、猫が隠れそうな隙間に他の猫が食べてもなくならないくらい多めの匂いの強い餌を押し込み、餌のまわりをトレイルカメラでひとけのなくなる夕方から朝にかけて撮影し、翌朝確認します。餌場があれば餌場にもトレイルカメラを設置させていただきます。
・虫の多い季節に餌を置くさいは、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。また餌の上に網を被せるとハエも防げます。餌は猫に食べさせることが目的ではなく、匂いで誘き寄せてトレイルカメラで撮影することが目的ですので、食べにくくなっていても構いません。餌は焼き魚など匂いが強いものが効果的です。
・トレイルカメラにうちの猫が写っていなければ、翌日次の候補地に移動させます。
・トレイルカメラは3台程度あると効率よく確認を進めていくことができます。トレイルカメラで撮影しないと、どの猫が食べに来ているのかがわかりませんので、餌を置く場所には必ずセットで設置してください。
携帯するもの:好物のオヤツ、キャリーバッグ
①捜していた猫を見つけた時は、まずは低くしゃがみ「落ち着いた声」で名前を呼びながら猫の状態を観察します。呼びかけの声に緊張や焦りがあると猫が警戒しますので、落ち着いた声を出すのが難しい場合は、呼びかけないほうがよいです。
②名前の呼びかけに猫が緊張したり逃げようとしたりしないようであれば、姿勢を低くしたまま名前を呼び、ゆっくり近付きます。顔の前に差し出した指に、猫が自分の匂いをすり付けてきたら、そのまま猫の身体に触れて素手で捕獲することができるかも知れません。
③身体に触ると暴れたり、指の匂いを嗅いでも警戒している場合は、無理に捕まえようとせず時間をかけたり、いったん離れることも必要です。追いかけて逃してしまうと、また居場所を捜す作業からはじめなければならなくなります。背中を丸めて後ずさりしたり、低い姿勢で「シャー!」といったりしているときは、かなり猫を追いつめてしまっている状態です。
④ぶじ捕獲できたら、腕からすり抜けて逃げてしまわないように、すぐに猫をキャリーバッグに入れてください。
⑤興奮や警戒心が強く、素手での捕獲が難しい場合は、無理に捕まえようとせずいったんその場を離れ、捕獲器を使ってください。捕まえようとして追いかけてしまうと移動してしまい、居場所がわからなくなってしまいます。
⑥猫が潜り込んだ場所から出てこない場合は、逃げられないように周りをブロックなどで囲い、捕獲器を使って保護します。
居場所がわかっても、隠れてしまっている場合や、警戒して素手での捕獲が難しい場合は捕獲器を使います。
ここでは市販の踏板式捕獲器を使った捕獲のしかたを説明します。メーカーによって構造に違いがありますので、取扱方法についてはメーカーの取扱説明書をご参照ください。
目撃場所で餌付けをして、同じ時間に来るようになってから捕獲器を設置するのが効果的です。
(1)設置の許可取り
①捕獲器を自分の敷地以外に設置する場合は、土地の所有者の許可を得てください。
②まわりに自由外出の猫がいる場合は、その猫が捕獲器にかかってトラブルにならないよう、事前に飼い主さんに、捕獲器を設置する時間帯は猫を外に出さないようお願いします。
地域猫がいる場合は、管理されている方と相談して捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
野良猫がいる場合も、捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
③捕獲器を見かけた人に不審物ではないことを知っていただくために、捕獲器にはご自分の名前、電話番号、設置期間、目的(迷子猫の捕獲)を明示してください。
(2)他の猫の餌場の管理をお願いする
①猫は飢えていないと捕獲器に入りません。近くで飼い主のいない猫に餌やりをしている人がいる場合は事情を説明して、捕獲しようとしている猫が餌を食べることがないよう餌場の管理をお願いします。
(3)使用前の動作、安全確認
①捕獲器のサイズが小さいと、せっかく中に入って踏板を踏んでも、扉にしっぽや後ろ脚が挟まり閉まりきらず、また外に出てしまうことがあります。また踏板から餌を置く場所が近いと、猫が踏板を踏まずに餌だけ食べて出ていってしまうことがあります。そうならないよう、奥行き762 × 幅254 × 高さ254 mm程度の大きさのものを選んでください。
②内側に猫が怪我をするような鋭利な突起がないか確認してください。鋭利な突起がある場合はヤスリで丸く研磨します。
③使用前に、奥側のスライド網戸を猫が自分で押し開けられないことを確認してください。押し開けられそうな場合は、結束バンドで固定してください。
④踏板を押して扉がスムーズに閉じることを確認してください。踏板に軽く触っただけで扉が閉じてしまう場合は、フックのひっかかりが深くなるよう調整します。扉が筐体に擦れる場合は、筐体の歪みを矯正します。
⑤捕獲器に他の猫の匂いがついている場合は、猫の匂いを消臭スプレーや水洗いでじゅうぶんに取り去ってください。
(4)捕獲器を快適にする
①捕獲器の上にシーツをかけて網目を隠し、暗くて落ち着いた猫の好きな環境にします。自身の匂いが付いたシーツなどを被せると安心感が増します。捕獲器の中にトイレシートを敷き歩きやすくします。
②捕獲器入口の手前に使用済みのトイレ砂を少量撒くのも効果があります。
③餌はうちの猫が普段食べている好物を使います。焼き魚など匂いの強いものを一緒に盛ると効果的です。
④虫の多い季節に餌を置くさいは、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。
(5)捕獲器の置き場所
①最後に目撃された場所に、土地の所有者の許可を得てから捕獲器を設置します。敷地内での設置許可が得られない場合は、敷地周辺で目撃されたポイントにできるだけ近い場所に設置し、匂いの強い餌で誘き寄せます。
②設置場所は、人が入って来ないような静かな場所を選び、猫の通り道の真ん中ではなく、通り道の脇に並行に設置するほうが効果的です。
③猫は中の餌が気になっても、見慣れぬ捕獲器を警戒して近づいてこないことがあります。そこで、猫が落ち着いて捕獲器をしばらく観察できるよう、捕獲器は茂みや車、物置、軒下などのそばに置きます。茂みの中に隠れてしばらく観察して、危険がなさそうだと思うと用心深い猫でも捕獲器に近づいていきます。
④捕獲器のまわりを人がうろうろすると猫が警戒して捕獲器に近づきませんので、離れた場所から懐中電灯で捕獲器の扉が閉まっているかどうかを確認できる場所を選んで設置します。
⑤捕獲器入口の手前に、ごく少量の餌を置きます。警戒して捕獲器に入らない猫もいますが、捕獲器の外の餌がなくなっていれば、そこになにかしらの動物が来たことがわかります。捕獲器まわりにそれ以外の餌は撒かないでください。その餌で空腹が満たされると、リスクを犯してまで捕獲器に入りません。
(6)捕獲器の管理
①うちの猫の性格や生活パターンにもよりますが、ひとけがなくなる夕方から明け方にかけて捕獲器を設置するのが効果的です。
②夏場は短時間でも熱中症の危険があるので、日中捕獲器を設置してはいけません。
③捕獲器を設置したら、人の気配を感じさせないようその場を離れます。
④捕獲器に動物が入った状態で長時間放置すると怪我や衰弱のリスクが高まりますので、3時間ごとに遠くから扉が閉まっていないかを確認してください。扉が閉まっていなければすみやかに立ち去ります。
⑤もし他の動物がかかってしまった場合は、お互い怪我をしないよう気をつけて、ただちにリリースしてください。感染症のリスクがありますので、手首・腕を引っ掻かれないよう注意してください。もし引っ掻かれたり、噛まれたりした場合は、すぐに傷口を流水でじゅうぶんに流し、病院で処置をしてもらってください。
⑥もし捕獲器にかかった猫の外観がうちの猫に似ていた場合は、今後迷子チラシを見た方からの目撃情報の確認に必要になることがありますので、うちの猫との違いがわかる部分の写真を撮ってからリリースします。
(7)トレイルカメラを設置して観察
①捕獲器にかからない場合は、そもそもうちの猫が捕獲器近くまで来ているのか、来ているが警戒して入らないのかを確認するために、土地の所有者の許可を得てから、トレイルカメラを捕獲器まわりが撮影できる位置に設置します。
②トレイルカメラは暗闇でも動くものに反応して鮮明な写真または動画を撮影してくれます。
(8)猫が捕獲器に入らない場合
一度捕獲器にかかったことがある猫は、よほど空腹にならないと警戒してなかなか捕獲器に入らないことがあります。その場合は時間をかけて捕獲器に慣らします。
①飢えてこないと捕獲器には入らないので、捕獲器に慣らす目的以外の餌は置かないようにします。
②捕獲器の扉を、猫が踏板を踏んでも閉まらないよう、結束バンドで固定しておきます。
③猫が捕獲器を通り抜けられるよう、奥側のスライド扉をはずしておきます。
④捕獲器の近くにトレイルカメラを設置し以下を確認します。
・捕獲器の近くに置いたほんの少量の餌を食べるか:空腹になっているかの確認
・捕獲器入口手前30cmに置いたほんの少量の餌を食べるか:捕獲器をどれくらい警戒しているかの確認
・捕獲器の中のたっぷりの餌を食べるか:捕獲器の中まで入るかの確認
⑤猫が捕獲器の中まで入るようであれば、扉を固定している結束バンドをはずし、奥側のスライド扉を差し込み、捕獲器をしかけます。
⑥警戒して捕獲器に入ろうとしない場合は、2日間は餌を与えず空腹の状態を維持し、捕獲器に入るのを待ちます。
(9)時間をかけて慣らそうとしても踏板式捕獲器に入らない場合
一度かかったことのある踏板式捕獲器とは形状の異なるドロップ式やサークル式の捕獲器を使っての捕獲を試みます。これらの捕獲器は市販されていませんので、自作するかペット探偵に依頼することになります。
(参考)ドロップ式トラップ
(参考)サークルトラップ
ぶじ保護できたときは、すぐに必要な医療ケアを受け、迷子捜しに協力してくださった人たちに報告します。
①夜間に保護した場合、保護した猫が怪我や衰弱をしている場合には、夜間救急動物病院で治療してもらってください。
②保護した猫に特に問題がないように見える場合でも、念のためかかりつけの動物病院で検査してもらってください。(脱水症状、外傷、歯と爪の損傷、ノミ・ダニ・寄生虫、血液検査で感染症などの確認、体重の大幅な減少がないかなど)
③検査が終わるまでは、同居している犬猫や人間への感染症のリスクがあるため、ケージか独立した部屋に隔離をしておいてください。
④喧嘩で噛まれていた場合、3日くらいしてから症状がでることがありますので、注意して観察し腫れや化膿が見つかった場合は動物病院で処置してもらってください。
⑤保護した猫が酷く汚れていなければ、落ち着くまではストレスのかかるシャンプーは控え、自分でグルーミングするのに任せてください。どうしても気になる場合は、猫に刺激の強いアルコールなどが含まれていないペット用のボディタオル、なければ水分をしっかり切った蒸しタオルで、汚れをやさしく拭き取ってください。
⑥もし捕獲時に飼い主さんが噛まれたり、引っ掻かれたりした場合は、感染症のリスクがありますので、すぐに傷口を流水でじゅうぶんに流し、腫れるようであればすぐに病院で処置をしてもらってください。
また、医療ケアではありませんが、保護した猫が落ち着かないことがあります。
猫の性格にもよりますが、保護できたときに飼い主さんが感極まって騒いでしまうと、猫は不安になります。お気持ちはよくよくわかりますが、猫も外で大変な思いをしてきていますので、ここは穏やかにうちの猫にお帰りを言いましょう。
慣れない外に出たことで猫も興奮していますので、落ち着くまでは静かな部屋に隔離しましょう。同居の猫がいる場合は、外の匂いや他の猫の匂いがついていると威嚇されることがありますので、しばらくは一緒にしないようにします。
長くても1週間もすれば落ち着いてきますので、心配せず長い目でみてあげてください。
①迷子が無事に帰ってきたら、目撃情報をくださった方たちと迷子捜しに協力してくださった皆様に報告し、感謝を伝えましょう。
②許可を得て掲示した迷子チラシがあれば、そのチラシに「見つかりました」のメモを貼りつけ、3日ほどしたら撤収します。迷子のことを心配してくださっている地域の方は多いものです。
③迷子届をした交番、保健所、動物愛護センター、清掃事務所や動物病院に保護したことを報告します。
(お願い)
捜している猫が見つかったときはぜひ、迷子の飼い主さんサポート活動の「迷子が見つかりました!」から、保護までの経緯をお知らせください。
チャットボットの捜索プランをさらに精度の高いものにすることと、迷子を捜している多くの飼い主さまのお役にたてる情報発信に活用させていただきます。
お疲れさまでした!
捜索を続けても見つからず、いなくなってから1ケ月をすぎた場合は、捜し方をいなくなって1ケ月以上 に変更してください。
ゼンリンが販売する、地名と1軒ずつ表札の名前が記載された白地図です。全国が網羅されており、横約610m×縦約380mのエリアがA3サイズに記載されています。
セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンにあるマルチコピー機を操作して必要なエリアを選択し、プリントアウトします。1枚 400円(税込)。捜索範囲が A3 1枚で収まらない場合は、範囲をずらして印刷して貼り合わせ、大きな地図を作ります。
うちの猫を見つけて素手で捕獲できても、連れて帰る途中で腕からすり抜けて逃げてしまいます。家からほんの10メートルの距離でも、逃げようとする猫を抱っこで逃さないよう連れて帰るのは困難です。捕獲できたら、逃げられないようすぐにキャリーバッグに入れてください。キャリーバッグがない場合は洗濯ネットなどで代用します。
・迷子チラシを印刷会社に発注した場合、届くのに早くても2~4日かかります。それが届くまで、迷子チラシの印刷原稿を自作して、コンビニなどでプリントして近場からポスティングを進めていきます。
・ネットでダウンロードできる迷子チラシ用のテンプレートもありますので、それらを使うと写真と迷子情報を入力するだけで素早く原稿を作成することができます。または、迷子チラシ制作業者に依頼して、印刷物が届くまでの間、印刷データを使わせてもらってください。業者に依頼したほうが、テンプレートを使うよりも特徴が伝わりやすいデザインになります。
・はじめて迷子チラシを作成される飼い主さんは、うちの猫のことを少しでも知ってもらいたくて、写真や文章をたくさん入れてしまいがちですが、これは逆効果です。写真や文章が多すぎると結局なにも覚えてもらえず、見かけても連絡がもらえなかったり、色が似ているだけの猫の目撃情報に振りまわされたりするようになります。
例えば、うちのキジトラ猫の特徴がカギしっぽと右耳カットだった場合、「しっぽの曲がったキジトラ猫」と大きく書き、しっぽと耳カットがわかる写真を添えます。それ以外の情報を割愛することで、キャッチコピーである「しっぽの曲がったキジトラ猫」を覚えていただきます。また迷子チラシには、目撃情報の信憑性をあげるために「できれば写真を撮ってください」と記載します。
ペットレスキューでも、似た猫を見かけた人が迷わず電話をくださるような、シンプルな迷子チラシのデザイン・印刷のご依頼をお受けしておりますので、お申し付けください。
・トレイルカメラとは、野外の動物を自動撮影するための昼間・夜間動体検知カメラです。
・猫などの動物が近づいたことを検知して、写真または動画を撮影してくれます。
・乾電池駆動で防水機能があり、映像は本体のメモリーカードに保存されます。
・うちの猫が置いた餌を食べに来ているのかどうかの確認や、捕獲器まわりでの挙動を観察するのに使います。人の気配をさせることなく、ひと晩中監視してくれるので、迷子猫捜しには大変役立つ道具です。
・トレイルカメラは用途が特殊なため家電量販店では取り扱っていません。ネット通販で購入できますので「トレイルカメラ」で検索して、防水、日本語対応、購入者評価で故障の書き込みが少ないものの中からお選びください。
・スマホでリアルタイムに映像モニターできる WiFi 式のものも販売されていますが、通信機材の取り扱いに慣れておられない場合はシンプルなものを選ばれることをお勧めします。
・知り合いに迷子捜しの経験がある人がいたら持っているかも知れませんので、貸してもらえないか聞いてみてください。小型三脚もあると設置のさい撮影範囲を調整するのに便利です。
・いろいろな種類がありますが、迷子猫の捕獲には「踏板式捕獲器」を使います。踏板の奥に餌を置き猫をおびき入れ、猫が踏板を踏むとスプリングで扉が閉まる仕組みの捕獲器です。
・警戒心が強く素手で捕獲することができない場合や、居場所がわかっても隠れた場所から出てこない場合に使います。
・捕獲器のサイズが小さいと、せっかく中に入って踏板を踏んでも、扉にしっぽや後ろ脚が挟まり閉まりきらず外に出てしまうことがあります。奥行き762 × 幅254 × 高さ254 mm程度の大きさのものを選んでください。
・使用前に、内側に猫が怪我をするような鋭利な突起がないか確認してください。鋭利な突起がある場合はヤスリで丸く研磨します。
・使用前に、奥側のスライド網戸を猫が自分で押し開けられないことを確認してください。押し開けられそうな場合は、結束バンドで固定してください。
・使用前に、踏板を押して扉がスムーズに閉じることを確認してください。捕獲器を少し揺すったり、踏板に軽く触ったりしただけでも扉が閉じてしまう場合は、フックのひっかかりが深くなるよう調整します。扉が筐体に擦れる場合は、筐体の歪みを矯正します。
・捕獲器に別の猫がかかってしまった場合は、お互いに怪我をしないよう気をつけてすぐにリリースして、猫の匂いを消臭スプレーや水洗いでじゅうぶんに取り去ってください。
・知り合いに迷子捜しの経験がある人がいたら持っているかも知れませんので、貸してもらえないか聞いてみてください。保健所や動物病院、保護団体さまから借りられるかも知れませんので尋ねてみてください。一部ホームセンターで販売しているところもあります。ネット通販でも購入できます。
(1)迷子になった時の猫の心理と行動
①普段室内だけで生活している警戒心が強い猫が外に出てしまった場合、外の環境や人が怖いため、自宅からとても近い場所に潜り込んで、数日から数週間ほとんど動かずにじっとしていることが多いです。
②逃げ出した方向の最初にあった、暗くて狭くて奥が深い場所に潜り込もうとします。そこに潜り込んだらしばらく出てきません。警戒心が強い猫は高い確率で自宅から近い場所に身を潜めています。それこそ、すぐ隣のお宅の物置や軒下に潜り込んでいることも多いです。
③警戒心が強い猫は、外敵を警戒して身体をできるだけ晒さないように移動するため、塀や屋根の上に登ったり、道路や橋を渡ったりしようとはしません。建物の壁沿いに移動すれば身体の片面が守られ安心するため、走り込んだ先の道路に囲まれたブロック内で隠れられる場所を見つけて潜り込み、そこにじっとしていることが多いです。
④外に出た原因が大きな物音に驚いてだったり、外に出た直後に飼い主さん家族に追いかけられたり、他の猫に追いかけられたりした場合は、パニックになり身体を晒す危険を顧みず道路を渡ってしまうことはあります。その場合でも、走り込んだ先のブロック内で隠れられる場所を見つけて潜り込み、そこにじっとしています。走り込んだ先のブロック内で隠れられる場所を見つけることができなかった場合は、さらに移動して隠れられる場所を探します。
⑤なかには、慣れない外に出てどうしてよいかわからず、しばらく庭や駐車場の車の下でぼんやりしている猫もいますが、その後安心して隠れられる場所を探して潜り込みます。
⑥外が怖くて隠れている場合、人が入りにくい場所の奥まった隙間に潜り込んでじっとしているので、道から捜しても見つけることが難しく、しばらくは警戒しているので名前を呼んでも出てきません。数日から数週間、隠れた場所からほとんど出てこない猫もいます。
道から捜しても見つからないのは遠くに移動したからではなく、近くに隠れて、ひとけのある時間帯に出てこないために発見できないケースが多いです。
⑦隠れている間は食餌を摂ることができませんが、活動していないためカロリー消費が少なく、数日は衰弱することもありません。しかしいつまでも何も食べないわけにはいきませんので、やがて水と餌を求めてやむなく恐る恐る、隠れた場所からひとけのない時間帯にこっそり出てきて、また隠れることを繰り返すようになります。
水は比較的容易に摂取することができますが、餌場を確保することは容易ではありません。他の猫の生命線としての餌場に新入りとして加わるため、追い払われコンスタントに食べることは難しく、餌を求めて少しずつ移動していきます。
⑧置き餌などの食餌を摂ることができない状況が続くと、生きるためにハンティングを行います。ネズミなどの哺乳類、鳩・スズメなどの鳥類、トカゲ・カエルなどの爬虫類、昆虫類を捕食します。
⑨しかし、すべての猫がいつも狩りを成功させることができるわけではないため、人が与えてくれる餌を確保することができなければ常に空腹状態が続き、よりよい餌場を求めて移動していくことになります。
(2)日にちの経過による行動パターンの変化
①外に出てしばらくは、空腹よりも警戒心が勝るため、自宅からとても近い場所に潜り込んで、ほとんど動かずにじっとしていることが多く、目撃されることもありません。
②数日から数週間ほど経過すると、空腹に耐えられなくなり、隠れていた場所から出て餌場や水場を見つけるために恐る恐る周辺の探索をはじめます。食餌できる場所、時間帯、餌場に集まる他の猫の状況を把握し、できるだけ安全に食餌できる方法をさぐっていきます。ひとけのない時間帯にしか行動しないため、目撃はされにくいです。
③数週間から1ヶ月ほど経過すると、まわりの環境にも慣れて、周辺の下調べも終え余裕が生まれてくるため、よりよい餌場を求めて少しずつ移動していきます。行動範囲や活動する時間も増えてくるため、目撃される可能性が高くなってきます。
④1ヶ月以上経過すると、安定して餌を摂れる場所を見つけ、移動をやめ定着している可能性が高くなります。決まった餌場に現れるようになるため、その周辺から目撃情報を得られることがあります。
警戒心が強く、外で暮らした経験がない、または室内だけで生活している年数が外で暮らしていた年数よりも長い猫が外に出てしまった場合、高い確率で自宅から近い場所に身を潜めています。数日から数週間ほとんど動かずにじっとしている猫もいます。
道から捜しても見つからないのは遠くに移動したからではなく、近くに隠れて、ひとけのある時間帯に出てこないために発見できないケースが多いです。
近隣の敷地に入れさせていただき軒下、物置の中、簡易物置の下、ウッドデッキの下など猫が潜り込めるスペースを懐中電灯を使い徹底的に捜してください。
隠れている間は食餌を摂ることができませんが、活動していないためカロリー消費が少なく、数日は衰弱することもありません。食べるものがない屋根裏に隠れていた猫が2週間後にぶじに保護されたケースもあります。
しかしいつまでも何も食べないわけにはいきませんので、やがて水と餌を求めてやむなく恐る恐る、隠れた場所からひとけのない時間帯にこっそり出てきて、また隠れることを繰り返すようになります。
水は比較的容易に摂取することができますが、餌場を確保することは容易ではありません。他の猫の生命線としての餌場に新入りとして加わるため、追い払われコンスタントに食べることは難しく、餌を求めて少しずつ移動していきます。
猫は水に濡れるのを嫌がりますので、雨をしのげる場所に潜り込んでじっとしています。そのため雨の中を捜し歩いても見つかりません。
雨が降っている間は移動していくこともありませんので、雨があがってから捜してください。
猫は暑い日は風通しのよい日陰を、寒い日は日当たりがよくて風の通らないところを見つけて暑さ寒さをしのいでいます。
・夏の日中は、車の下、日陰になった塀の上、屋根裏、縁の下など風通しのよい日陰で休み、夕方から朝方にかけて行動します。
・冬は比較的暖かい日中に行動し、夜は倉庫、資材置場、床下など風があたらない暖かい場所をねぐらにしています。
ただし、暑さ寒さが続くと体力を奪われますので、できるだけはやめに保護できるよう作業を進めてください。
普段から警戒心が強く触るのがむずかしい猫はもちろん、家にいるときは家族に懐いている猫でも外に出れば警戒心が高まってしまいます。
警戒心が高まっているところに、飼い主さん家族が興奮して捕まえようと近づいたり、追いかけたりすれば、猫は逃げてしまいます。逃げる猫を人が素手で捕まえることはほぼできません。
何度も追いかけてしまうと、さらに猫の警戒心が高まり、今後飼い主さん家族を見ただけでも逃げるようになってしまいます。移動して居場所がわからなくなってしまうこともあります。
見つければ捕まえたくなりますが、まずは低くしゃがみ「落ち着いた声」で名前を呼びながら猫の状態を観察して、素手での保護ができそうかどうか見極めてください。むずかしそうであれば、いったんその場を離れ捕獲器を使っての捕獲を試みます。
一度捕獲器にかかったことがある猫は、よほど空腹にならないと警戒してなかなか捕獲器に入らないことがあります。
家のまわりに捕獲器があることで、警戒して家に近寄ってこようとしない猫もいます。
警戒してすぐには捕獲器に入ろうとしない場合は、餌を与えず空腹の状態を維持し、時間をかけて捕獲器に慣らしていきます。
トレイルカメラが手元にない場合は、ダンボールで「猫ホイホイ」を自作し代用します。
トレイルカメラに比べ確認の精度は劣りますが、まわりに似た毛色の猫がいなければ、この方法は有効です。
①ダンボールで猫が身をかがめて入れるくらいの細長い四角い筒を作ります。
②ダンボールの筒の内側の上面と側面に布粘着テープを丸めて貼り付けます。
③ダンボールの筒の中央に餌をたっぷりと置きます。
④ダンボールの筒でも警戒して入らない猫もいるので、近くまで来たかどうかを確認するために、「猫ホイホイ」の入口近くにほんの少量の餌を置いておきます。
⑤猫が餌を食べにダンボールの筒に入ると、丸めた布粘着テープに毛がつくので、うちの猫のものかどうかを確認します。