外を知らず警戒心が高まっている猫は、外の環境と人を恐れますので、外に出て最初に見つけた暗くて狭くて奥が深い場所に隠れようとします。そこに潜り込んだらしばらく出てきません。植え込みや車の下、自販機の下など、道から人がすぐに覗き込むことができるような場所にはいません。
そのため、名前を呼びながら道から捜し歩くのではなく、日中近隣のお宅の敷地に入れさせていただき、隠れている猫をこちらから見つけ出しにいってください。
ただ、どんなに警戒心が強い猫でも、外に出て数日経過すると空腹に耐えかねて、隠れた場所からひとけのない時間帯にこっそり出てきてまた隠れることを繰り返しながら、雨を避け、暑さ寒さをしのぎ、少しずつ移動していきます。
そこで、移動に備え迷子チラシのポスティング範囲も拡げていきます。
迷子の猫がはやくおうちに帰れますように。
日中、猫が走り込んだと思われるお宅の敷地に入れさせていただき、縁の下や物が積み上がった隙間、簡易物置の下、側溝など、暗くて狭くて奥が深い場所をしらみつぶしに懐中電灯を使って徹底的に目視で捜します。ここで言う徹底的とは、積み上がっている物を全てどかし、隙間という隙間の一番奥まで、というくらい徹底的にです。猫の足跡や抜毛も見逃さないようにします。
・家のまわりに餌を置くのは、そこにうちの猫が来るかどうかを確認するためです。まわりに他の猫がいなければ餌だけを置く意味がありますが、野良猫や自由外出、地域猫がいる場合は餌だけ置くとどの猫が食べに来ているのかがわからず意味がありません。トイレ砂も他の猫にマーキングされると、うちの猫が帰ってきづらくなることがあります。
・餌を置くのであればトレイルカメラとセットで置いて、どの猫が食べに来ているのかを確認できるようにしてください。
・捕獲器も闇雲に置くと他の猫がかかって管理が大変なので、居場所の見当がついてから設置するようにします。
普段からお付き合いがあるお宅でも、猫を捜すために敷地に入れさせていただけるようお願いするのはためらわれるかと思いますが、うちの猫が移動してしまう前に保護できるかどうかの重要な作業ですので、勇気を出してお願いしましょう。
許しを得ずに敷地に入ったり、夜中にひとさまの庭を懐中電灯で照らしたりすることは絶対にしないでください。お住まいの方が気を悪くなさいますし、トラブルになって捜索作業が続けられなくなることもあります。
①日中、事情を話して敷地に入れさせていただけるようお願いします。日が暮れてからでは他人が敷地に入ることは嫌がられますし、暗くて狭くて奥まった場所でじっとしている猫を懐中電灯を使って捜すので、敷地に入るのが夜間である必要はありません。
お願いするさいに迷子チラシがあると事情が説明しやすく、また後日そのお宅の方がうちの猫を見かけたときに電話がもらえるかも知れません。
②空き家があれば、管理者の許可を得て中に入り捜します。
③敷地に入っての目視は、1軒も隙間をあけることなく全戸行ってください。1軒でも隙間をあけてしまうとそこに隠れているかも知れません。
④人さまの敷地には何度も入れさせていただくことができませんので、もう見る場所がなくなるまで徹底的な目視を行なってください。
⑤そのお宅にお住まいの方が「猫がいないか見ておいてあげるよ」と言われても、人が簡単に覗き込めるような浅い場所には隠れていませんので、敷地に入っての目視は必ずご自身で行ってください。
アメリカンショートヘア
アメリカンショートヘアは迷子になると、広範囲に移動していくよりも、近中距離内を歩きまわる傾向があります。ハンティング能力が高くネズミやトカゲ、カエルなどを捕食できるため、置き餌を求めて移動する必要がないためかも知れません。いなくなってすぐは、いなくなった場所のごく近くを徹底的に捜してください。
他の猫に自ら近づき、ちょっかいをかけたり追いまわしたりしながら移動してしまうことがあります。近くを捜しても見つからない場合は、徐々に捜索範囲を拡げていってください。
アメリカンショートヘアは縞模様に特徴があるので、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
スコティッシュフォールド
スコティッシュフォールドは、閉め忘れた玄関や窓から積極的にというよりもなんとなく外に出てしまい、移動せずに自宅近くでぼんやりしているところを発見されるような傾向があります。いなくなってすぐは、いなくなった場所のごく近くを徹底的に捜してください。
他の猫と接触して追われたり、ふらふら歩いて自宅から少し離れたりしてしまうと家の方角がわからなくなり、餌場を求めて移動してしまうことがあります。近くを捜しても見つからない場合は、徐々に捜索範囲を拡げていってください。
あまり警戒心が強くない性格の場合は誰かに保護されていることもあります。
スコティッシュフォールドは耳や丸みを帯びた身体、短いしっぽといった身体的な特徴があるので、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
マンチカン
マンチカンは迷子になると、しばらくの間は安心出来る場所に潜みまわりの状況を観察していますが、好奇心旺盛なためにはやめに移動をはじめます。これまでの発見事例では近くから遠くまで様々な距離で発見されており、個体により行動パターンが異なっています。そのため近場にいつまでも固執せず、はやめに捜索範囲を拡げていく必要があります。
マンチカンは短足の場合はわかりやすい特徴になるので、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
ロシアンブルー
ロシアンブルーは迷子になると、慎重な性格からしばらくの間は安心出来る場所に潜み、まわりの状況を観察しています。いなくなってすぐは、いなくなった場所の近くを徹底的に捜してください。闇に溶け込む毛色のため、近くにいるのに目撃されないケースもあります。
まわりの安全が確認出来ると動きはじめますが、ひとめにつかない場所や時間帯に慎重に行動します。近くを捜しても見つからない場合は、徐々に捜索範囲を拡げていってください。
ロシアンブルーは特徴のある毛色とシャープな体型のため、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
ペルシャ
ペルシャは迷子になると、落ち着ける場所を見つけてその場所に留まり、狭い範囲内で過ごしている傾向があります。いなくなってすぐは、いなくなった場所の近くを徹底的に捜してください。近くを捜しても見つからない場合は、徐々に捜索範囲を拡げていってください。
ペルシャは長毛でとても目立つ外見なので、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
メインクーン
メインクーンは迷子になると、好奇心旺盛で外界の様々なものに対して興味を持ち行動する傾向があり、時には遠距離まで移動してしまいます。防水効果が高い被毛なので雨天時にも行動していることがあります。猫にしては呼び戻しがきく種類なので、自宅近くにいるうちは飼い主さんの呼びかけに反応して自ら帰ってくることもあります。
メインクーンは立派なしっぽやフサフサした毛などの特徴があるので、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。遠距離まで移動していることもあるため、広範囲のポスティングが必要になることがあります。
ノルウェージャンフォレストキャット
ノルウェージャンフォレストキャットは迷子になると、好奇心旺盛で物怖じしない大胆な性格のため、まわりの環境に慣れてくるとはやいタイミングで動きはじめる傾向があります。高所を好む傾向があるため、屋根や木に登ったり塀の上を伝ったりして移動します。ダブルコートの被毛は防水効果も高く寒さにも強いため、雨天時でも餌場に現れたりします。名前の呼びかけにも反応してくるタイプなので、近くにいる間は深夜から夜明け前に自宅敷地内から外に向かって声がけすることによって自ら帰ってくることがあります。
ノルウェージャンフォレストキャットは、警戒心も強くないため人前に姿を現しますし、長毛でしっかりとした体格といった特徴もあるため、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
シャム
シャムは迷子になると、慎重な性格からしばらくの間は安心出来る場所に潜み、まわりの状況を観察していますが、好奇心が旺盛なためはやいタイミングで動きはじめる傾向があります。動きはじめても、どんどん遠くへ移動することなく狭い範囲内を慎重に行動する傾向があります。高所を好む傾向があるため、屋根や木に登ったり塀の上を伝ったりして移動します。冬場に脱走した場合は、日当たりのよい場所や室外機の上で身体を温めています。
顔、足先、しっぽの毛色が濃いといった身体的な特徴があるため、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
ベンガル
ベンガルは迷子になると、隠れてじっとしているよりは、すぐに動きはじめる傾向があります。パワー、スピード、ジャンプ力とも身体能力が突出しており、他の猫を追いかけたりします。スタミナがあるため広範囲に移動することがあり、捜索作業範囲が広範囲になることがあります。近くを捜しても見つからない場合は、迷子チラシのポスティングをはじめる必要があります。
ベンガルは特徴的なヒョウ柄をしており、人前にも臆せず現れるため、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。またお腹が空いて自ら人に寄り付き保護されるケースもあります。
アビシニアン
アビシニアンは迷子になると、しばらくの間は安心出来る場所に潜みまわりの状況を観察していますが、じき慣れてきて動きはじめます。好奇心旺盛ではありますが慎重な面もあるため、静かになる時間帯に活動します。動きはじめると、身体能力が高いためどこにでも現れ、濡れることをいとわず雨の日でも餌を求めて活動していることがあります。
夜間にひとめを避けて活動していると目撃されにくいですが、アビシニアンは短毛で印象的なスリムが体型をしているため、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。いなくなった場所周辺で活動していることが多いため、近場から徐々に迷子チラシのポスティング範囲を拡げていってください。
ソマリ
ソマリは洞察力が高く慎重な面があるため迷子になると、まわりの環境を充分に把握してから行動に移る傾向があります。ひとめや車などを避けて静かな場所に潜み、物音がしない深夜帯になってから行動する傾向があります。雨天時でも餌を求めて行動していることがあります。広範囲に移動するタイプではないので、いなくなった場所の近くを徹底的に捜してください。近くを捜しても見つからない場合は、徐々に捜索範囲を拡げていってください。
ソマリは長めの被毛と塀の上を歩いている時の綺麗なフォルムが印象的で、迷子チラシから信憑性の高い目撃情報が得られる可能性が高いです。
自宅で暮らしているときは、飼い主さんや同居猫との関係性からそれぞれに個性があると思いますが、外に出て迷子になるとその行動に毛色による違いが出てくるようです。私たちはこれまでの捜索経験から、以下のような印象をもっています。
茶トラ
大らかでおとなしくおっとりとした温厚な性格で人に対しても従順です。食欲は旺盛で比較的トラップに入りやすい傾向にあります。オス猫は時に予想外の遠距離まで移動することがあります。
茶トラ白
飼い主には甘えん坊で知能が高い印象です。好奇心旺盛ですが慎重で臆病な一面もあります。
キジトラ
好奇心旺盛で賢く人懐っこい印象です。食欲は旺盛で餌を使った誘き寄せにはよく反応してきます。生粋の野良は野生的でタフな印象があります。
キジトラ白
人懐っこく甘えん坊でフレンドリー。知能が高く好奇心旺盛で活発な印象です。
ミケ
知能が高く冷静で分析力に優れている。とても慎重で捉えどころのない印象があります。
サビ
わがままで気が強い反面とても警戒心が強く神経質で臆病。捜索対象としては一筋縄ではいかないタイプです。見知らぬ人や猫に対しては寄せつけない傾向があります。
黒
好奇心旺盛でマイペース。大胆さと慎重さがミックスされ予測不能の行動をすることが多々あります。
黒白
好奇心旺盛で活発ですが警戒心が強く臆病な一面もあります。食欲旺盛で餌による誘き寄せに反応してきます。個体によってはとてつもなくタフで攻撃的な場合もあります。
白
最も捉えどころのない独特の世界観の中で生きている印象があります。予想を覆す行動をする場合が多いタイプです。
①仔猫期(0-6ケ月)
母親と行動を共にしている期間なので、餌をキープ出来る場所を基点とした仔猫に負担のない狭い範囲で暮らしています。体の小さい仔猫が行方不明になってしまった場合、一帯をテリトリーとしている成猫に攻撃されて、安心できる場所に隠れそこから動けずにしばらく留まっているか、追われてやむをえず移動します。
若さゆえに好奇心も旺盛なため、物音や気配を確認しに隠れている場所から出てきてはまた潜むというような行動パターンになります。生まれながらに生得的に備わった感覚、母猫から教わった知識はありますが、まだ経験値が少ないため判断能力は劣ります。
失踪直後は自宅付近に隠れている可能性が高いので、懐中電灯を使って徹底的に潜り込めそうな箇所を確認してください。
②成猫期(7ケ月-10歳)
テリトリー意識が芽生え体力的にも自信がある年齢なので、本能に従い精力的に行動します。潜伏場所、餌場、他の猫との関係性等により変化しますが、生涯を通して最も活発に行動する傾向にあります。特に発情による異性間との交流、テリトリー内の巡回や争い、餌場の確保、子育てに関連した行動が主になります。
③高齢期(11歳-14歳)
心身共に落ち着いた行動パターンになってきます。好奇心によって行動することも少なくなり、日常と同じサイクルで過ごすことを好む傾向にあります。異性を積極的に求め移動したり、テリトリー争いをしたりする機会も減り穏やかに生活するようになります。
④後期高齢期(15歳以上)
高齢になり足腰が弱くなっていると、高い場所に上がったり、遠くに移動したりすることができなくなります。死期が迫ってきた時に普段は寝てばかりいる猫が急に外に出て姿を消してしまうことがありますが、自分の死期を察してというよりは本能的に外敵から身を守るためより適した潜伏場所を求めての行動だと思われます。
また服薬治療中で薬が切れるとすぐに重い病気の症状が現われる猫の場合は、遠くには行けずいなくなった場所のごく近くで安心出来る場所を見つけて潜り込もうとします。
具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースもありますので、少なくとも半径5km圏内の動物病院にはすべて迷子チラシを持っていき、できれば受付に貼っていただけるようお願いをします。
年齢による行動パターンに関しては個体差があり、性格や身体的な要因により異なります。高齢の猫が想像したよりも遠方まで移動していたり、若く身体能力にも恵まれた猫がほとんど移動せずに近場で発見されたりするケースも頻繁にあるため、年齢だけでなく、これまでの生い立ち、今の生活環境、性格、まわりの環境、いなくなってからの日にちなども考慮し、捜索範囲と作業内容を決めていきます。
服薬している薬の効果が薄れ具合が悪くなると、回復を待つために人や他の動物が来ない暗くて狭くて奥が深い場所を見つけて潜り込みます。
薬が切れるとすぐに重い病気の症状が現われる猫の場合は、遠くには行けず、いなくなった場所のごく近くで安心できる場所を見つけて潜り込もうとします。
投薬中の猫が行方不明になった場合、多くの飼い主さんが「薬が切れるとすぐに具合が悪くなるので、もう亡くなっているかもしれない」とネガティブに捉えがちですが、日数が経過して発見された場合でも健康面に問題がない場合も多々あるため、落ち着いて着実に作業を進めてください。
具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースもありますので、少なくとも半径5km圏内の動物病院にはすべて迷子チラシを持っていき、できれば受付に貼っていただけるようお願いをします。
脱走経験が1~2度ある猫の場合、外に出てすぐは前回脱走したときと同じ行動をとる傾向があります。隠れていた猫なら同じ場所や似たような場所を見つけ潜り込んでいることが多いですし、歩きまわっていた猫なら家と家の隙間や庭先など前回と同じような場所を好んで歩きまわったり、座っていたりすることがあります。
室内飼育であっても脱走経験が増えるほど外に対して慣れてきて、自由外出の猫のような行動をとるようになります。
これまで脱走するたびに自ら戻ってきたり、簡単に見つかったりしていると、今回も戻ってくると思いがちですが保証は何もありません。今出来ることは早急に進めてください。
住み慣れた場所から見知らぬ家に移った場合、不安やストレスからもといた場所に戻りたい衝動で脱走してしまうことがあります。
見知らぬ場所でもあるため、失踪後しばらくの間は近くの落ち着く場所に潜り込んでまわりの様子を伺っているケースが多いので、お住まい近くで猫が潜り込める場所を捜してみてください。
猫は新しい家に執着はありませんので、自分で戻ってくることは期待できません。
もといた場所にたどり着くこともありますが、帰巣本能は個体によって差がありますし、帰る方角がわかっていても激しい車の往来や距離が離れすぎていてすぐにはたどり着けず、食餌を求めて彷徨っているうちに迷子になるケースが多くあります。
近くを捜しても見つからず日数が経過した場合は、迷子チラシのポスティングと、それを補うSNSでの情報発信を行い捜索範囲を拡げて捜してください。
そこにいなければ、道路に囲まれたそのブロック全戸の敷地を同様に捜します。
そこにもいなければ、外に出たときの勢いで道路を渡った可能性もあるので、隣接するブロックも同様に捜してください。
携帯するもの:ゼンリンの住宅地図、懐中電灯、好物のオヤツ、キャリーバッグ
畑の中は安心して身を隠すことができないので、ながくは留まりません。畑を捜すときは、納屋や資材置き場、側溝の中を捜します。
①日中許可を得て、猫が走り去ったと思われる方向にある納屋や資材置き場の物が積み上がった隙間、簡易物置の下の隙間、側溝の中など、暗くて狭くて奥行きが深い場所をしらみつぶしに懐中電灯を使って徹底的に目視で捜します。猫は少しでも隙間があれば潜り込むことができます。ここで言う徹底的とは、積み上がっている物を全てどかし、隙間という隙間の一番奥まで、というくらい徹底的にです。猫の足跡や抜毛がないかも注意して見てください。
②畑は障害物が少ないので、突っ切って移動してしまっていることがあります。
畑の納屋や資材置き場、側溝を捜しても見つからない場合は、畑の先にある住宅地を捜します。
③蓋がある側溝であれば、その中を伝って遠くまで移動してしまうこともありますので、側溝の中や出口付近も捜します。
携帯するもの:懐中電灯、好物のオヤツ、キャリーバッグ、餌、トレイルカメラ
猫が山に入ってしまった場合、山の中まで分け入って捜し歩くのは困難ですし、出会えても怖がらせて逃がしてしまうリスクがあります。そこで、山の中を捜し歩くのではなく、名前の呼びかけや餌の匂いで隠れている場所から誘い出しトレイルカメラで撮影する方法で居場所を特定します。
①いなくなった場所の近くから順番に、猫が隠れそうな隙間に、他の動物が食べてもなくならないくらい多めの匂いの強い餌を押し込み、餌のまわりをトレイルカメラでひとけのなくなる夕方から朝にかけて撮影し、翌朝確認します。
虫の多い季節に餌を置くさいは、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。また餌の上に網を被せるとハエも防げます。餌は猫に食べさせることが目的ではなく、匂いで誘き寄せてトレイルカメラに写すことが目的ですので、食べにくくなっていても問題ありません。餌は焼き魚など匂いが強いものが効果的です。
②落ち葉が堆積した場所や、木の根っこなどに隠れていることもありますが、雨が凌げる場所を求めて資材置場や休憩所といった建造物や側溝の中に潜り込むことが多いです。
③餌とトレイルカメラは管理がしやすいよう、歩いて入れる範囲に設置します。焼き魚など匂いの強いものを使えば、茂みの奥の方にいても誘き寄せることができます。
④餌は、落ち着いた声で「ご飯だよ」と知らせてから設置し、警戒させないようその場を離れてください。
⑤トレイルカメラにうちの猫が写っていなければ、翌日次の候補地に移動させます。
トレイルカメラは4台程度あると効率よく確認を進めていくことができます。トレイルカメラで撮影しないと、どの動物が食べに来ているのかがわかりませんので、餌を置く場所には必ずセットで設置してください。
トレイルカメラが手元にない場合は、「猫ホイホイ」を自作してしかけてみてください。
⑥トレイルカメラで居場所が特定できたら、そこに捕獲器を設置します。
飼い猫は野生動物ではありませんので、いつまでも山の中に留まることはなく、摂りやすい餌を求めていずれ民家のあるほうに降りてきます。数日山の中を捜しても見つからない場合は、山周辺の住宅地に捜索範囲を切り替えます。
うちの猫を見つけたら、あわてて捕まえようとすると逃げますので、落ち着いて猫の状態を観察し、ゆっくり近づき保護します。
携帯するもの:好物のオヤツ、キャリーバッグ
①捜していた猫を見つけた時は、まずは低くしゃがみ「落ち着いた声」で名前を呼びながら猫の状態を観察します。呼びかけの声に緊張や焦りがあると猫が警戒しますので、落ち着いた声を出すのが難しい場合は、呼びかけないほうがよいです。
②名前の呼びかけに猫が緊張したり逃げようとしたりしないようであれば、姿勢を低くしたまま名前を呼び、ゆっくり近付きます。顔の前に差し出した指に、猫が自分の匂いをすり付けてきたら、そのまま猫の身体に触れて素手で捕獲することができるかも知れません。
③身体に触ると暴れたり、指の匂いを嗅いでも警戒している場合は、無理に捕まえようとせず時間をかけたり、いったん離れることも必要です。追いかけて逃してしまうと、また居場所を捜す作業からはじめなければならなくなります。背中を丸めて後ずさりしたり、低い姿勢で「シャー!」といったりしているときは、かなり猫を追いつめてしまっている状態です。
④ぶじ捕獲できたら、腕からすり抜けて逃げてしまわないように、すぐに猫をキャリーバッグに入れてください。
⑤興奮や警戒心が強く、素手での捕獲が難しい場合は、無理に捕まえようとせずいったんその場を離れ、捕獲器を使ってください。捕まえようとして追いかけてしまうと移動してしまい、居場所がわからなくなってしまいます。
⑥猫が潜り込んだ場所から出てこない場合は、逃げられないように周りをブロックなどで囲い、捕獲器を使って保護します。
ここでは市販の踏板式捕獲器を使った捕獲のしかたを説明します。メーカーによって構造に違いがありますので、取扱方法についてはメーカーの取扱説明書をご参照ください。
目撃場所で餌付けをして、同じ時間に来るようになってから捕獲器を設置するのが効果的です。
(1)設置の許可取り
①捕獲器を自分の敷地以外に設置する場合は、土地の所有者の許可を得てください。
②まわりに自由外出の猫がいる場合は、その猫が捕獲器にかかってトラブルにならないよう、事前に飼い主さんに、捕獲器を設置する時間帯は猫を外に出さないようお願いします。
地域猫がいる場合は、管理されている方と相談して捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
野良猫がいる場合も、捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
③捕獲器を見かけた人に不審物ではないことを知っていただくために、捕獲器にはご自分の名前、電話番号、設置期間、目的(迷子猫の捕獲)を明示してください。
(2)他の猫の餌場の管理をお願いする
①猫は飢えていないと捕獲器に入りません。近くで飼い主のいない猫に餌やりをしている人がいる場合は事情を説明して、捕獲しようとしている猫が餌を食べることがないよう餌場の管理をお願いします。
(3)使用前の動作、安全確認
①捕獲器のサイズが小さいと、せっかく中に入って踏板を踏んでも、扉にしっぽや後ろ脚が挟まり閉まりきらず、また外に出てしまうことがあります。また踏板から餌を置く場所が近いと、猫が踏板を踏まずに餌だけ食べて出ていってしまうことがあります。そうならないよう、奥行き762 × 幅254 × 高さ254 mm程度の大きさのものを選んでください。
②内側に猫が怪我をするような鋭利な突起がないか確認してください。鋭利な突起がある場合はヤスリで丸く研磨します。
③使用前に、奥側のスライド網戸を猫が自分で押し開けられないことを確認してください。押し開けられそうな場合は、結束バンドで固定してください。
④踏板を押して扉がスムーズに閉じることを確認してください。踏板に軽く触っただけで扉が閉じてしまう場合は、フックのひっかかりが深くなるよう調整します。扉が筐体に擦れる場合は、筐体の歪みを矯正します。
⑤捕獲器に他の猫の匂いがついている場合は、猫の匂いを消臭スプレーや水洗いでじゅうぶんに取り去ってください。
(4)捕獲器を快適にする
①捕獲器の上にシーツをかけて網目を隠し、暗くて落ち着いた猫の好きな環境にします。自身の匂いが付いたシーツなどを被せると安心感が増します。捕獲器の中にトイレシートを敷き歩きやすくします。
②捕獲器入口の手前に使用済みのトイレ砂を少量撒くのも効果があります。
③餌はうちの猫が普段食べている好物を使います。焼き魚など匂いの強いものを一緒に盛ると効果的です。
④虫の多い季節に餌を置くさいは、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。
(5)捕獲器の置き場所
①最後に目撃された場所に、土地の所有者の許可を得てから捕獲器を設置します。敷地内での設置許可が得られない場合は、敷地周辺で目撃されたポイントにできるだけ近い場所に設置し、匂いの強い餌で誘き寄せます。
②設置場所は、人が入って来ないような静かな場所を選び、猫の通り道の真ん中ではなく、通り道の脇に並行に設置するほうが効果的です。
③猫は中の餌が気になっても、見慣れぬ捕獲器を警戒して近づいてこないことがあります。そこで、猫が落ち着いて捕獲器をしばらく観察できるよう、捕獲器は茂みや車、物置、軒下などのそばに置きます。茂みの中に隠れてしばらく観察して、危険がなさそうだと思うと用心深い猫でも捕獲器に近づいていきます。
④捕獲器のまわりを人がうろうろすると猫が警戒して捕獲器に近づきませんので、離れた場所から懐中電灯で捕獲器の扉が閉まっているかどうかを確認できる場所を選んで設置します。
⑤捕獲器入口の手前に、ごく少量の餌を置きます。警戒して捕獲器に入らない猫もいますが、捕獲器の外の餌がなくなっていれば、そこになにかしらの動物が来たことがわかります。捕獲器まわりにそれ以外の餌は撒かないでください。その餌で空腹が満たされると、リスクを犯してまで捕獲器に入りません。
(6)捕獲器の管理
①うちの猫の性格や生活パターンにもよりますが、ひとけがなくなる夕方から明け方にかけて捕獲器を設置するのが効果的です。
②夏場は短時間でも熱中症の危険があるので、日中捕獲器を設置してはいけません。
③捕獲器を設置したら、人の気配を感じさせないようその場を離れます。
④捕獲器に動物が入った状態で長時間放置すると怪我や衰弱のリスクが高まりますので、3時間ごとに遠くから扉が閉まっていないかを確認してください。扉が閉まっていなければすみやかに立ち去ります。
⑤もし他の動物がかかってしまった場合は、お互い怪我をしないよう気をつけて、ただちにリリースしてください。感染症のリスクがありますので、手首・腕を引っ掻かれないよう注意してください。もし引っ掻かれたり、噛まれたりした場合は、すぐに傷口を流水でじゅうぶんに流し、病院で処置をしてもらってください。
⑥もし捕獲器にかかった猫の外観がうちの猫に似ていた場合は、今後迷子チラシを見た方からの目撃情報の確認に必要になることがありますので、うちの猫との違いがわかる部分の写真を撮ってからリリースします。
(7)トレイルカメラを設置して観察
①捕獲器にかからない場合は、そもそもうちの猫が捕獲器近くまで来ているのか、来ているが警戒して入らないのかを確認するために、土地の所有者の許可を得てから、トレイルカメラを捕獲器まわりが撮影できる位置に設置します。
②トレイルカメラは暗闇でも動くものに反応して鮮明な写真または動画を撮影してくれます。
(8)猫が捕獲器に入らない場合
一度捕獲器にかかったことがある猫は、よほど空腹にならないと警戒してなかなか捕獲器に入らないことがあります。その場合は時間をかけて捕獲器に慣らします。
①飢えてこないと捕獲器には入らないので、捕獲器に慣らす目的以外の餌は置かないようにします。
②捕獲器の扉を、猫が踏板を踏んでも閉まらないよう、結束バンドで固定しておきます。
③猫が捕獲器を通り抜けられるよう、奥側のスライド扉をはずしておきます。
④捕獲器の近くにトレイルカメラを設置し以下を確認します。
・捕獲器の近くに置いたほんの少量の餌を食べるか:空腹になっているかの確認
・捕獲器入口手前30cmに置いたほんの少量の餌を食べるか:捕獲器をどれくらい警戒しているかの確認
・捕獲器の中のたっぷりの餌を食べるか:捕獲器の中まで入るかの確認
⑤猫が捕獲器の中まで入るようであれば、扉を固定している結束バンドをはずし、奥側のスライド扉を差し込み、捕獲器をしかけます。
⑥警戒して捕獲器に入ろうとしない場合は、2日間は餌を与えず空腹の状態を維持し、捕獲器に入るのを待ちます。
(9)時間をかけて慣らそうとしても踏板式捕獲器に入らない場合
一度かかったことのある踏板式捕獲器とは形状の異なるドロップ式やサークル式の捕獲器を使っての捕獲を試みます。これらの捕獲器は市販されていませんので、自作するかペット探偵に依頼することになります。
(参考)ドロップ式トラップ
(参考)サークルトラップ
自宅のあるブロックと隣接するブロックを目視で捜すさいに見つけた猫が隠れそうな場所と野良猫・地域猫用の餌場を、すべてゼンリンの住宅地図に書き込んでおきます。
いなくなった場所の近くから、夕方から朝にかけて餌とトレイルカメラを設置し、翌朝トレイルカメラの映像を確認します。
・匂いで誘き寄せる餌は、普段食べているフードやオヤツのほかに、焼き魚など匂いが強いものが効果的です。餌の量は、他の猫が食べてもなくならないくらい多めに盛ります。
・虫の多い季節に餌を置く場合は、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。また餌の上に網を被せるとハエも防げます。餌は猫に食べさせることが目的ではなく、匂いで誘き寄せてトレイルカメラで撮影することが目的ですので、食べにくくなっていても構いません。
・餌を置いたら、そのまわりにはフードやトイレ砂を撒いたりしないでください。
・餌を食べに来た猫が写る位置にトレイルカメラを設置してください。トレイルカメラで撮影しないと、どの猫が食べに来ているのかがわからず意味がありませんので、必ずいっしょに設置してください。
①トレイルカメラの設定
機種による違いはありますが猫を観察するための設定は、
・動画:撮影時間2分程度、音声オン
・センサー感度:中
とするのがよいでしょう。
②トレイルカメラの設置場所
置いた餌からおよそ1m離し、猫が来たときに全身が写る場所に設置します。必ず事前に試し撮りをして撮影範囲を確認してください。
③人さまの敷地に設置する場合は事前に許可を取ってください。敷地まわりに設置する場合でも、住居内を覗き込むような位置に設置してはいけません。
④不審物として撤去されないように、トレイルカメラには設置の目的と設置期間および連絡先を明記してください。
盗難の恐れがなくもないので、ひとめにつきにくい場所に押し込むように設置すること、また盗難防止用鍵付きワイヤーで柱などに繋ぎ止めておくこともお勧めします。
⑤猫が餌を食べにくる日没から設置し、翌朝回収して映像を確認します。
(参考)トレイルカメラで猫の挙動を撮影
トレイルカメラが手元にない場合は、ダンボールで「猫ホイホイ」を自作し代用します。
トレイルカメラに比べ確認の精度は劣りますが、まわりに似た毛色の猫がいなければ、この方法は有効です。
①ダンボールで、猫が身をかがめて入れるくらいの細長い四角い筒を作ります。
②ダンボールの筒の内側の上面と側面に布粘着テープを丸めて貼り付けます。
③ダンボールの筒の中央に餌をたっぷりと置きます。
④ダンボールの筒でも警戒して入らない猫もいるので、近くまで来たかどうかを確認するために、「猫ホイホイ」の入口近くにほんの少量の餌を置いておきます。
⑤猫が餌を食べにダンボールの筒に入ると、丸めた布粘着テープに毛がつくので、うちの猫のものかどうかを確認します。
「猫ホイホイ」は、簡単に、安価にたくさん自作できますので、複数箇所を一度に確認するのに役立ちます。
®「猫ホイホイ」はペットレスキューが考案した迷子猫捜索用道具の名称です。
トレイルカメラにうちの猫が写っていなければ、次の候補地に移動させます。
トレイルカメラにうちの猫が写ったら、写った時間帯に現場に出向き捜します。見つけてもあわてて捕まえようとすると逃げますので、落ち着いて猫の状態を観察し、ゆっくり近づき保護します。
携帯するもの:好物のオヤツ、キャリーバッグ
①捜していた猫を見つけた時は、まずは低くしゃがみ「落ち着いた声」で名前を呼びながら猫の状態を観察します。呼びかけの声に緊張や焦りがあると猫が警戒しますので、落ち着いた声を出すのが難しい場合は、呼びかけないほうがよいです。
②名前の呼びかけに猫が緊張したり逃げようとしたりしないようであれば、姿勢を低くしたまま名前を呼び、ゆっくり近付きます。顔の前に差し出した指に、猫が自分の匂いをすり付けてきたら、そのまま猫の身体に触れて素手で捕獲することができるかも知れません。
③身体に触ると暴れたり、指の匂いを嗅いでも警戒している場合は、無理に捕まえようとせず時間をかけたり、いったん離れることも必要です。追いかけて逃してしまうと、また居場所を捜す作業からはじめなければならなくなります。背中を丸めて後ずさりしたり、低い姿勢で「シャー!」といったりしているときは、かなり猫を追いつめてしまっている状態です。
④ぶじ捕獲できたら、腕からすり抜けて逃げてしまわないように、すぐに猫をキャリーバッグに入れてください。
⑤興奮や警戒心が強く、素手での捕獲が難しい場合は、無理に捕まえようとせずいったんその場を離れ、捕獲器を使ってください。捕まえようとして追いかけてしまうと移動してしまい、居場所がわからなくなってしまいます。
⑥猫が潜り込んだ場所から出てこない場合は、逃げられないように周りをブロックなどで囲い、捕獲器を使って保護します。
ここでは市販の踏板式捕獲器を使った捕獲のしかたを説明します。メーカーによって構造に違いがありますので、取扱方法についてはメーカーの取扱説明書をご参照ください。
目撃場所で餌付けをして、同じ時間に来るようになってから捕獲器を設置するのが効果的です。
(1)設置の許可取り
①捕獲器を自分の敷地以外に設置する場合は、土地の所有者の許可を得てください。
②まわりに自由外出の猫がいる場合は、その猫が捕獲器にかかってトラブルにならないよう、事前に飼い主さんに、捕獲器を設置する時間帯は猫を外に出さないようお願いします。
地域猫がいる場合は、管理されている方と相談して捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
野良猫がいる場合も、捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
③捕獲器を見かけた人に不審物ではないことを知っていただくために、捕獲器にはご自分の名前、電話番号、設置期間、目的(迷子猫の捕獲)を明示してください。
(2)他の猫の餌場の管理をお願いする
①猫は飢えていないと捕獲器に入りません。近くで飼い主のいない猫に餌やりをしている人がいる場合は事情を説明して、捕獲しようとしている猫が餌を食べることがないよう餌場の管理をお願いします。
(3)使用前の動作、安全確認
①捕獲器のサイズが小さいと、せっかく中に入って踏板を踏んでも、扉にしっぽや後ろ脚が挟まり閉まりきらず、また外に出てしまうことがあります。また踏板から餌を置く場所が近いと、猫が踏板を踏まずに餌だけ食べて出ていってしまうことがあります。そうならないよう、奥行き762 × 幅254 × 高さ254 mm程度の大きさのものを選んでください。
②内側に猫が怪我をするような鋭利な突起がないか確認してください。鋭利な突起がある場合はヤスリで丸く研磨します。
③使用前に、奥側のスライド網戸を猫が自分で押し開けられないことを確認してください。押し開けられそうな場合は、結束バンドで固定してください。
④踏板を押して扉がスムーズに閉じることを確認してください。踏板に軽く触っただけで扉が閉じてしまう場合は、フックのひっかかりが深くなるよう調整します。扉が筐体に擦れる場合は、筐体の歪みを矯正します。
⑤捕獲器に他の猫の匂いがついている場合は、猫の匂いを消臭スプレーや水洗いでじゅうぶんに取り去ってください。
(4)捕獲器を快適にする
①捕獲器の上にシーツをかけて網目を隠し、暗くて落ち着いた猫の好きな環境にします。自身の匂いが付いたシーツなどを被せると安心感が増します。捕獲器の中にトイレシートを敷き歩きやすくします。
②捕獲器入口の手前に使用済みのトイレ砂を少量撒くのも効果があります。
③餌はうちの猫が普段食べている好物を使います。焼き魚など匂いの強いものを一緒に盛ると効果的です。
④虫の多い季節に餌を置くさいは、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。
(5)捕獲器の置き場所
①最後に目撃された場所に、土地の所有者の許可を得てから捕獲器を設置します。敷地内での設置許可が得られない場合は、敷地周辺で目撃されたポイントにできるだけ近い場所に設置し、匂いの強い餌で誘き寄せます。
②設置場所は、人が入って来ないような静かな場所を選び、猫の通り道の真ん中ではなく、通り道の脇に並行に設置するほうが効果的です。
③猫は中の餌が気になっても、見慣れぬ捕獲器を警戒して近づいてこないことがあります。そこで、猫が落ち着いて捕獲器をしばらく観察できるよう、捕獲器は茂みや車、物置、軒下などのそばに置きます。茂みの中に隠れてしばらく観察して、危険がなさそうだと思うと用心深い猫でも捕獲器に近づいていきます。
④捕獲器のまわりを人がうろうろすると猫が警戒して捕獲器に近づきませんので、離れた場所から懐中電灯で捕獲器の扉が閉まっているかどうかを確認できる場所を選んで設置します。
⑤捕獲器入口の手前に、ごく少量の餌を置きます。警戒して捕獲器に入らない猫もいますが、捕獲器の外の餌がなくなっていれば、そこになにかしらの動物が来たことがわかります。捕獲器まわりにそれ以外の餌は撒かないでください。その餌で空腹が満たされると、リスクを犯してまで捕獲器に入りません。
(6)捕獲器の管理
①うちの猫の性格や生活パターンにもよりますが、ひとけがなくなる夕方から明け方にかけて捕獲器を設置するのが効果的です。
②夏場は短時間でも熱中症の危険があるので、日中捕獲器を設置してはいけません。
③捕獲器を設置したら、人の気配を感じさせないようその場を離れます。
④捕獲器に動物が入った状態で長時間放置すると怪我や衰弱のリスクが高まりますので、3時間ごとに遠くから扉が閉まっていないかを確認してください。扉が閉まっていなければすみやかに立ち去ります。
⑤もし他の動物がかかってしまった場合は、お互い怪我をしないよう気をつけて、ただちにリリースしてください。感染症のリスクがありますので、手首・腕を引っ掻かれないよう注意してください。もし引っ掻かれたり、噛まれたりした場合は、すぐに傷口を流水でじゅうぶんに流し、病院で処置をしてもらってください。
⑥もし捕獲器にかかった猫の外観がうちの猫に似ていた場合は、今後迷子チラシを見た方からの目撃情報の確認に必要になることがありますので、うちの猫との違いがわかる部分の写真を撮ってからリリースします。
(7)トレイルカメラを設置して観察
①捕獲器にかからない場合は、そもそもうちの猫が捕獲器近くまで来ているのか、来ているが警戒して入らないのかを確認するために、土地の所有者の許可を得てから、トレイルカメラを捕獲器まわりが撮影できる位置に設置します。
②トレイルカメラは暗闇でも動くものに反応して鮮明な写真または動画を撮影してくれます。
(8)猫が捕獲器に入らない場合
一度捕獲器にかかったことがある猫は、よほど空腹にならないと警戒してなかなか捕獲器に入らないことがあります。その場合は時間をかけて捕獲器に慣らします。
①飢えてこないと捕獲器には入らないので、捕獲器に慣らす目的以外の餌は置かないようにします。
②捕獲器の扉を、猫が踏板を踏んでも閉まらないよう、結束バンドで固定しておきます。
③猫が捕獲器を通り抜けられるよう、奥側のスライド扉をはずしておきます。
④捕獲器の近くにトレイルカメラを設置し以下を確認します。
・捕獲器の近くに置いたほんの少量の餌を食べるか:空腹になっているかの確認
・捕獲器入口手前30cmに置いたほんの少量の餌を食べるか:捕獲器をどれくらい警戒しているかの確認
・捕獲器の中のたっぷりの餌を食べるか:捕獲器の中まで入るかの確認
⑤猫が捕獲器の中まで入るようであれば、扉を固定している結束バンドをはずし、奥側のスライド扉を差し込み、捕獲器をしかけます。
⑥警戒して捕獲器に入ろうとしない場合は、2日間は餌を与えず空腹の状態を維持し、捕獲器に入るのを待ちます。
(9)時間をかけて慣らそうとしても踏板式捕獲器に入らない場合
一度かかったことのある踏板式捕獲器とは形状の異なるドロップ式やサークル式の捕獲器を使っての捕獲を試みます。これらの捕獲器は市販されていませんので、自作するかペット探偵に依頼することになります。
(参考)ドロップ式トラップ
(参考)サークルトラップ
外の環境に慣れ、お腹がすいてくると、自宅に帰ろうとすることがあります。
夜自宅から外に向かっていつも通りの「落ち着いた声」で名前を呼んでください。近くに潜んでいる場合は、猫は耳がよいので、声をきっかけに帰ってくることがあります。
自宅の近くに隠れている場合、人の気配や車の音がなくなる真夜中に自宅から外に向かっていつも通りの声で呼びかけることによって、自力で帰ってくることがあります。フードの袋の音や仲のよい同居猫の鳴き声も効果的です。
①他の猫が来るので家のまわりに餌を置かないでください。
②夜、部屋の奥に匂いの強い餌を置き、出ていった窓か扉を少し開けて、部屋から外に向かってフードの袋の音をさせながら、「ごはんだよー」と声掛けしてから、落ち着いた声で名前を呼びます。猫は耳がいいので大きな声を出さなくても、家の方角がわかって帰ってくることがあります。開けた窓や扉の外にトイレの砂を少量置いておくのも効果があります。
※ やみくもにトイレ砂をばら撒くと、他の猫を呼び寄せたりマーキングされたりして余計に帰ってこられない状況を作り出してしまう可能性があるため、すぐ回収できるように紙皿などに入れて置いてください。
※ 同居の猫がいる場合は、外に出ることがないよう、必ず別の部屋に閉じ込めるかケージに入れてから窓や扉を開けるようにしてください。
③名前を呼んだ後は、部屋の中を薄暗くしてひとけを消し、猫が入る場所から見えるところに走り込んで隠れられる場所を作っておき(押入れの戸を少し開けておくなど)、安心して入って来られるように工夫しておきます。部屋の中に逃げ込める場所が見つからないと、ひとけを感じた時にまた外に出てしまいます。
④猫が部屋のじゅうぶん奥まで入ったら、落ち着いて静かに、開けていた窓や扉を閉めます。
家の中では猫の導線を邪魔するため待機できない場合は、開けた窓や扉の外の車の中で待つなどの工夫をします。
⑤猫が現れない場合、自宅敷地内や隠れている可能性がありそうな場所に、置き餌とトレイルカメラをセットで置くことで、自宅近くにいるかどうかを確認することができます。
部屋に入らず外の置き餌を食べて去っていく状況が続く場合は、餌を食べにくる時間帯に捕獲器を設置してください。
外に餌だけ置くとどの猫が食べたのかわからず意味がないので、トレイルカメラか自宅の監視カメラで確認してください。
迷子チラシを半径300mまで1軒の漏れもないようポスティングして、見かけたら連絡がもらえる体制をつくっていきます。
一戸建ての多い住宅地であれば、およそ1,000枚の迷子チラシが必要になります。印刷枚数が300枚を超えると、コンビニでカラー印刷するより印刷会社に注文したほうが安くなります。
猫は住居敷地内に隠れていたり、庭や家と家の間の塀の上など道路からは見えにくい裏手で行動したりしていることが多いため、道路から見つけるよりも住人の方が自宅で目撃する可能性のほうが高いです。
また、猫が移動して捜索範囲がひろくなってしまっている場合は、ひとりで捜し歩いても出会えるのは運頼りになってしまいますので、道から目視で捜しながら、迷子チラシをポスティングしていきます。迷子チラシをポスティングすることで、捜し歩いたときには出会えなくても、地域住民の方が見かけたら連絡をくださる体制ができあがっていきます。隙間なく迷子チラシをポスティングすることで地域に網を張り、どこに移動しても目撃されるような状況を作っていきます。
万一、怪我や病気で衰弱しているところを保護してくださった方がいれば、その猫が捜している猫であることを知っていただくこともできます。どこかの餌場に寄りついていれば、その猫が捜している猫であることを知っていただくこともできます。
迷子チラシの目撃情報から保護に繋がるケースはとても多いです。
はじめて迷子チラシを作成される飼い主さんは、うちの猫のことを少しでも多く知ってもらいたくて、写真や文章をたくさん書いてしまいがちですが、これは逆効果です。写真や文章が多すぎると結局なにも覚えてもらえず、見かけても連絡がもらえなかったり、色が似ているだけの猫の目撃情報に振りまわされたりすることになります。
例えば、うちのキジトラ猫の特徴がカギしっぽと右耳カットだった場合、「しっぽの曲がったキジトラ猫」と大きく書き、しっぽと耳カットがわかる写真を添えます。それ以外の情報を割愛することで、キャッチコピーである「しっぽの曲がったキジトラ猫」を覚えていただきます。また迷子チラシには、目撃情報の信憑性をあげるために「できれば写真を撮ってください」と記載します。
(ご参考)情報を絞ったシンプルな迷子チラシのデザインの参考に
ペットレスキューでも、似た猫を見かけた人が迷わず電話をくださるような、シンプルな迷子チラシのデザイン・印刷のご依頼をお受けしておりますので、お申し付けください。
目撃情報を得るために、迷子チラシはゼンリンの住宅地図に記録しながら1軒の漏れもないようにポスティングすることが大切です。
ポスティングの範囲は、目撃情報が入ってくるまで拡げていきます。
目安としていなくなってから
・7日以内であれば半径300mまで
・1ケ月以内であれば半径500mまで
・1ケ月以上であれば半径1kmまで
漏れなくポスティングします。
一戸建ての多い住宅地であれば、半径300mでおよそ1,000枚必要になります。さらに範囲を拡げることもあるため、私たちが出張捜索を行うさいは一度に2,000枚は注文するようにしています。
迷子チラシには、ポスティングしやすい B5 サイズ・薄紙(73kg)、写真がきれいな光沢紙(コート)が適しています。
注文してから手元に届くまでに早くても2~4日かかりますので、うちの猫が見つかり無駄になったらよかったと思い、はやめに注文します。
ラクスル、グラフィック、プリントパックなどはネットで印刷を発注することができ、納期もはやいです。
(ご参考) ご自宅から半径300mに何世帯あるかは、ポスティング業者さまのサイトからお調べいただくこともできます。
ペットレスキューでも、似た猫を見かけた人が迷わず電話をくださるような、シンプルな迷子チラシのデザイン・印刷のご依頼をお受けしておりますので、お申し付けください。
①日中、迷子チラシを猫がいなくなった場所周辺全戸に、近場から1軒の漏れもないようポスティングしていきます。お住まいの方にお話を聞きながらでは時間がかかりますので、郵便受けに次々入れていきます。ポスティングをしながら庭先などを目視で捜します。
②闇雲にポスティングせず、ブロックごとにポスティングを進め、ゼンリンの住宅地図にポスティングした家、空き家など猫が隠れそうな場所、餌やりさんの餌場、外猫の特徴と居場所の情報を書き込みながら計画的にポスティングをします。
③チラシの投函が禁止されているマンションは、掲示板に迷子チラシを貼っていただけるよう管理人さんにお願いしてみてください。
④郵便受けに「チラシお断り」と表示されている場合は投函を控えます。また、チラシや郵便物が詰まっている郵便受けへは投函しません。
⑤目撃情報が入ってくるまで、広い道路や川向こうは後回しにして、全方向にチラシのポスティング範囲を拡げていきます。
⑥迷子チラシのポスティングは、100枚におよそ1時間かかります。お手伝いをお願いできる人がいたら、手分けして進めてください。
迷子チラシのポスティングを人にお願いするさいは、ポスティングして欲しいブロックをマーカーペンで囲ったゼンリンの住宅地図を一緒に渡して、ポスティング記録を書き込んでいただくようお願いしてください。ポスティングが完了したら住宅地図を回収します。住宅地図で全体のポスティング記録を把握できるようにしておかないと、どこにポスティングしたのかがわからなくなります。
自由外出猫のオスとメスでは普段の生活圏の広さに違いがありますが、これと迷子になってからの移動距離はまったく別のものと考えてください。
自然豊かな環境であればオスとメスの行動範囲に差がありますが、住宅地では車の交通量の多さ、適した住処の少なさ、与えてもらえる餌場等の事情により、狭い範囲の中で他の猫と生活圏を分かち合いながら猫たちは生きています。迷子になった猫は、すでにできあがっている他の猫たちの生活圏に入っていくことになりますので、よく言われる「オスのメスの移動距離の違い」は、迷子を捜す場合にはそのまま当てはめることができません。
また他の猫との接触など突発的なできごとや、近くに安心して身を隠す場所が見つからないなど、さまざまな要因が移動距離に影響を与えます。
迷子捜しでは性別による違いよりも、これまでの生い立ち、今の生活環境、性格、まわりの環境、いなくなってからの日にちによって行動パターンと移動距離が違ってくることを考慮して、捜索範囲を決めていく必要があります。
①仔猫期(0-6ケ月)
母親と行動を共にしている期間なので、餌をキープ出来る場所を基点とした仔猫に負担のない狭い範囲で暮らしています。体の小さい仔猫が行方不明になってしまった場合、一帯をテリトリーとしている成猫に攻撃されて、安心できる場所に隠れそこから動けずにしばらく留まっているか、追われてやむをえず移動します。
若さゆえに好奇心も旺盛なため、物音や気配を確認しに隠れている場所から出てきてはまた潜むというような行動パターンになります。生まれながらに生得的に備わった感覚、母猫から教わった知識はありますが、まだ経験値が少ないため判断能力は劣ります。
失踪直後は自宅付近に隠れている可能性が高いので、懐中電灯を使って徹底的に潜り込めそうな箇所を確認してください。
②成猫期(7ケ月-10歳)
テリトリー意識が芽生え体力的にも自信がある年齢なので、本能に従い精力的に行動します。潜伏場所、餌場、他の猫との関係性等により変化しますが、生涯を通して最も活発に行動する傾向にあります。特に発情による異性間との交流、テリトリー内の巡回や争い、餌場の確保、子育てに関連した行動が主になります。
③高齢期(11歳-14歳)
心身共に落ち着いた行動パターンになってきます。好奇心によって行動することも少なくなり、日常と同じサイクルで過ごすことを好む傾向にあります。異性を積極的に求め移動したり、テリトリー争いをしたりする機会も減り穏やかに生活するようになります。
④後期高齢期(15歳以上)
高齢になり足腰が弱くなっていると、高い場所に上がったり、遠くに移動したりすることができなくなります。死期が迫ってきた時に普段は寝てばかりいる猫が急に外に出て姿を消してしまうことがありますが、自分の死期を察してというよりは本能的に外敵から身を守るためより適した潜伏場所を求めての行動だと思われます。
また服薬治療中で薬が切れるとすぐに重い病気の症状が現われる猫の場合は、遠くには行けずいなくなった場所のごく近くで安心出来る場所を見つけて潜り込もうとします。
具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースもありますので、少なくとも半径5km圏内の動物病院にはすべて迷子チラシを持っていき、できれば受付に貼っていただけるようお願いをします。
年齢による行動パターンに関しては個体差があり、性格や身体的な要因により異なります。高齢の猫が想像したよりも遠方まで移動していたり、若く身体能力にも恵まれた猫がほとんど移動せずに近場で発見されたりするケースも頻繁にあるため、年齢だけでなく、これまでの生い立ち、今の生活環境、性格、まわりの環境、いなくなってからの日にちなども考慮し、捜索範囲と作業内容を決めていきます。
猫にもよりますが、一緒に暮らしている猫がいるほうが、外で猫に出会ったときの近づき方や距離のとり方を心得ています。
相手の猫との相性にもよりますので一概には言えませんが、他の猫がいる餌場で餌にありつけたり、他の猫のテリトリーに入って追いかけられたりするトラブルは少ない傾向があります。
猫どうしは好んで争ったりはしませんので、多くの場合は出会ってもお互いに距離を取りやりすごします。
①ただ、近所に野良のボス的な猫がいる場合は、自分のテリトリーから出ていくように追い払われることがあります。近所の聞き込みをするさい、最近猫の争う声を聞かなかったかも確認します。
②もし野良猫や地域猫がたくさんいる場合は、近くに餌場があります。うちの猫が他の猫とコミュニケーションが取れるようであれば、餌場にいつくかも知れません。餌が出しっぱなしになっている場合は、他の猫がいない間に食べているかも知れません。餌をあげておられる方が、「新しい猫は来ていない」と言われる場合でも、その方が見ていない時間帯に食べに来ていることはありますので、できれば許可を得て餌場にトレイルカメラを置かしてもらいましょう。
③もし近所にうちの猫と似た毛色・柄の猫がいる場合は、その猫の目撃情報が入ってくるようになりますので、その猫とは違ううちの猫の特徴を強調する迷子チラシのデザインにする必要があります。
イエネコの祖先は単独性のリビアヤマネコになり、先祖から身体的能力や思考において濃い影響を受けてはいますが、柔軟に変化して人や同種の猫たちと共存出来る社会性を身につけてきました。
単独性の野生種に比べイエネコの場合は個体密生度が高い生活環境で生活しているため、同種の猫に対して(体力、知力、地位)等を(外見、匂い、ボディランゲージ)などで分析し、また他の猫同士の接触を客観的に観測して自身に当てはめ優劣を推論しています。
また尿による情報交換、更に刺激臭と分泌物が含まれるスプレー、爪とぎの際に指間腺から分泌される臭い、体の皮膚から分泌される皮膚腺、糞便等によるコミュニケーションを利用しています。
もしまだなら、行政機関にはやめに届けを出しておきます。
健康な猫は犬と違って基本的に警察署、保健所、動物愛護センターなどの行政機関に保護されることはありませんが、怪我や衰弱をしている場合は保護されることがありますので、もしもに備えてはやめに届けを出しておきます。
行政機関に保護されても首輪に連絡先が記載されていなければ連絡がもらえるとは限りませんので、届出してからも継続的に収容情報を確認する必要があります。
①地域の交番・警察署
警察署では、迷子の猫は落とし物(遺失物)として扱われます。
地域の方が迷子を保護した場合は、最寄りの警察署に拾い物(拾得物)として届けることが多いので、昼夜を問わず警察署に確認をしてください。
警察署に迷子の届けがない場合は、届けられたときに知らせてもらえるよう「遺失届」を出しておきます。
警察署では動物を長期間預かることはできないので、保健所または動物愛護センターに移送されます。
②市区町村の保健所・生活衛生課管理係
猫が迷子になった場所の市区町村にある保健所へ連絡して、うちの猫が収容されていないかを確認します。外観が似た猫が収容されている場合は、保健所へ行って確認します。
捜している猫がいない場合は、迷子の届出をしておきます。
警察署や保健所は地域ごとに管轄がわかれていて、情報が共有されていない場合もありますので、いなくなった場所だけでなく、隣接する場所の警察署や保健所にも確認する必要があります。
③都道府県の動物愛護センター
都道府県にある動物愛護センターでは、警察署や保健所から移送された動物が収容されます。
電話で迷子の届けを出してください。写真や特徴の書かれた迷子チラシがあれば、センターで迷子の確認がしやすくなりますので、電話で届けを出したあとに迷子チラシを作成して送りましょう。センターによっては手渡しや郵送だけでなくメールでもチラシを受け取ってくれるところがあります。
④地域の清掃事務所
とても残念なことですが、車にひかれるなどして路上で遺体になった場合、最寄りの清掃事務所に回収され焼却されることがあります。
清掃事務所は道路ごとに異なっていて、国道と高速道路は国土交通省、県道は都道府県、市町村道は市町村と管轄がわかれているため、全ての事務所に確認する必要があります。
回収された場合、通常2日~3日で焼却され記録は残りませんので早めに電話で確認する必要があります。
⑤地域の動物病院
怪我や衰弱をしているところを保護され運び込まれることがありますので、電話で確認します。地域の犬や猫の飼い主さんたちに迷子のことを知っていただくために、迷子チラシを受付に掲示していただけるようお願いに行きます。
具合が悪くなっているところを車で通りがかった人が保護してくださり、その方の自宅近くの動物病院に連れていかれたケースもありますので、少なくとも半径5km圏内の動物病院にはすべて迷子チラシを持っていき、できれば受付に貼っていただけるようお願いをします。
行政機関に保護されても首輪に連絡先が記載されていなければ連絡がもらえるとは限りませんので、届出してからも継続的に収容情報を確認する必要があります。
①地域の交番・警察署
保護された猫が連絡先の記載された首輪をしていれば連絡をもらえますが、していない場合やしていても外れてしまっている場合は連絡がもらえません。
警察署に迷子の猫の届出があった場合は、「拾得物」として公開されますので、うちの猫の可能性がある場合は保護されている場所を教えていただき直接確認に行きます。
拾得物の公開方法は自治体によって違いがありますので、警察署で確認をしてください。
②市区町村の保健所・生活衛生課管理係、都道府県の動物愛護センター
保護された猫が連絡先の記載された首輪をしていれば連絡をもらえますが、していない場合やしていても外れてしまっている場合は連絡がもらえません。
保護された猫の情報は公開されますので、うちの猫の可能性がある場合は直接確認に行きます。
収容動物情報の公開方法は自治体によって違いがありますので、保健所と動物愛護センターに確認をしてください。
また、マイクロチップが埋め込まれていても以下の場合は連絡がもらえません。
・登録先が日本獣医師会(AIPO)ではない場合:
ペットショップが日本獣医師会(AIPO)ではなく、自社のデータベースにマイクロチップ情報を登録していた場合、動物病院や行政機関との連携がありませんので、保護されても連絡をもらうことができません。
・飼い主さんの連絡先情報が更新されていない場合:
マイクロチップの登録後に電話番号や住所が変わっていると、保護されても連絡がつかないかも知れません。
うちの猫のマイクロチップが日本獣医師会(AIPO)に登録されているか、電話番号や住所が更新されているかは、環境省 犬と猫のマイクロチップ情報登録>犬や猫の飼い主の方>登録事項の確認・変更 から確認することができます。
③地域の清掃事務所
残念ながら、猫を回収したとしても飼い主さんに連絡することは清掃事務所の業務ではありません。通常、首輪をしていたとしても確認されることはありません。連絡をくださる事務所の方もおられますが、それは担当の方のお気持ちによるものです。
つらいことではありますが、飼い主さんが継続的に確認をする必要があります。
また、個人や法人の敷地内で発見された場合は清掃事務所が回収することはありませんので、記録は残りません。
目撃情報が入ったら、現場に行って確認し、保護します。
目撃情報の電話はいきなりかかってきます。かかってきたときに慌てないよう、予め以下の項目を手帳などにメモして、いつでも取り出して見られるようにしておくと便利です。
電話がかかってきたら丁重にお礼をしてから、以下の聞き取りとお願いをします。
①迷子チラシを見た方から電話がかかってきたら、目撃日時(いつ見たか、いつから見かけるようになったか)、目撃場所、目撃したときの様子、どこからどこへ向かって行ったかを聞き取ります。猫の特徴は、こちらから「右耳がさくらカットでしたか?」などと誘導するような質問をせずに、先方の覚えておられることを教えていただくようにします。
②写真がある場合はSMSなどで送ってもらいます。写真で確認することで信憑性が高まります。
③電話をくださった方の名前を聞き、こちらからも連絡させてもらえるようお願いし関係を維持します。もしまた見かけたら写真を撮っていただけるようにお願いをします。
④スマホの電話帳に保存した連絡先に、「目撃情報 曙1丁目ヤマダさま」などと情報を追加しておくと、次回かかってきたときに、誰からの電話かがわかりやすくなります。
携帯するもの:迷子チラシ、懐中電灯、好物のオヤツ、キャリーバッグ、餌、トレイルカメラ
①目撃情報は大変貴重です。通常、どんどん電話がかかってくることはなく、数件の情報からうちの猫の居場所を突き止めていくことになります。そのため、外観が明らかに違う、場所が遠すぎるなどでない限り、ていねいに1件ずつ確実に確認をしていきます。
②目撃情報のあった場所に迷子チラシと好物のオヤツ、キャリーバッグを持ってできるだけ早く行き、その付近を集中的に捜します。可能であれば目撃電話をくださった方に同行していただき、目撃したときの状況を教えていただきます。
③すぐに出会えない場合は、近隣の方に迷子チラシを渡して聞き込みをします。迷子チラシの写真に似た猫を見かけていないか、見かけている場合はいつから見かけるようになったか(迷子になる前から見かけている場合は違う猫の可能性があります)、近くに餌場がないかなどの聞き込みをします。餌場があれば、餌をあげておられる方にお会いして話を聞きます。
④現場に行ってもなかなか出会うことができない場合は、餌の匂いで隠れている場所から誘い出しトレイルカメラで撮影する方法で確認します。
・目撃情報があった場所のまわりで、猫が隠れそうな隙間に他の猫が食べてもなくならないくらい多めの匂いの強い餌を押し込み、餌のまわりをトレイルカメラでひとけのなくなる夕方から朝にかけて撮影し、翌朝確認します。餌場があれば餌場にもトレイルカメラを設置させていただきます。
・虫の多い季節に餌を置くさいは、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。また餌の上に網を被せるとハエも防げます。餌は猫に食べさせることが目的ではなく、匂いで誘き寄せてトレイルカメラで撮影することが目的ですので、食べにくくなっていても構いません。餌は焼き魚など匂いが強いものが効果的です。
・トレイルカメラにうちの猫が写っていなければ、翌日次の候補地に移動させます。
・トレイルカメラは3台程度あると効率よく確認を進めていくことができます。トレイルカメラで撮影しないと、どの猫が食べに来ているのかがわかりませんので、餌を置く場所には必ずセットで設置してください。
携帯するもの:好物のオヤツ、キャリーバッグ
①捜していた猫を見つけた時は、まずは低くしゃがみ「落ち着いた声」で名前を呼びながら猫の状態を観察します。呼びかけの声に緊張や焦りがあると猫が警戒しますので、落ち着いた声を出すのが難しい場合は、呼びかけないほうがよいです。
②名前の呼びかけに猫が緊張したり逃げようとしたりしないようであれば、姿勢を低くしたまま名前を呼び、ゆっくり近付きます。顔の前に差し出した指に、猫が自分の匂いをすり付けてきたら、そのまま猫の身体に触れて素手で捕獲することができるかも知れません。
③身体に触ると暴れたり、指の匂いを嗅いでも警戒している場合は、無理に捕まえようとせず時間をかけたり、いったん離れることも必要です。追いかけて逃してしまうと、また居場所を捜す作業からはじめなければならなくなります。背中を丸めて後ずさりしたり、低い姿勢で「シャー!」といったりしているときは、かなり猫を追いつめてしまっている状態です。
④ぶじ捕獲できたら、腕からすり抜けて逃げてしまわないように、すぐに猫をキャリーバッグに入れてください。
⑤興奮や警戒心が強く、素手での捕獲が難しい場合は、無理に捕まえようとせずいったんその場を離れ、捕獲器を使ってください。捕まえようとして追いかけてしまうと移動してしまい、居場所がわからなくなってしまいます。
⑥猫が潜り込んだ場所から出てこない場合は、逃げられないように周りをブロックなどで囲い、捕獲器を使って保護します。
居場所がわかっても、隠れてしまっている場合や、警戒して素手での捕獲が難しい場合は捕獲器を使います。
ここでは市販の踏板式捕獲器を使った捕獲のしかたを説明します。メーカーによって構造に違いがありますので、取扱方法についてはメーカーの取扱説明書をご参照ください。
目撃場所で餌付けをして、同じ時間に来るようになってから捕獲器を設置するのが効果的です。
(1)設置の許可取り
①捕獲器を自分の敷地以外に設置する場合は、土地の所有者の許可を得てください。
②まわりに自由外出の猫がいる場合は、その猫が捕獲器にかかってトラブルにならないよう、事前に飼い主さんに、捕獲器を設置する時間帯は猫を外に出さないようお願いします。
地域猫がいる場合は、管理されている方と相談して捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
野良猫がいる場合も、捕獲器から離れた場所でたっぷりの餌を与え、捕獲器に入らないようにします。
③捕獲器を見かけた人に不審物ではないことを知っていただくために、捕獲器にはご自分の名前、電話番号、設置期間、目的(迷子猫の捕獲)を明示してください。
(2)他の猫の餌場の管理をお願いする
①猫は飢えていないと捕獲器に入りません。近くで飼い主のいない猫に餌やりをしている人がいる場合は事情を説明して、捕獲しようとしている猫が餌を食べることがないよう餌場の管理をお願いします。
(3)使用前の動作、安全確認
①捕獲器のサイズが小さいと、せっかく中に入って踏板を踏んでも、扉にしっぽや後ろ脚が挟まり閉まりきらず、また外に出てしまうことがあります。また踏板から餌を置く場所が近いと、猫が踏板を踏まずに餌だけ食べて出ていってしまうことがあります。そうならないよう、奥行き762 × 幅254 × 高さ254 mm程度の大きさのものを選んでください。
②内側に猫が怪我をするような鋭利な突起がないか確認してください。鋭利な突起がある場合はヤスリで丸く研磨します。
③使用前に、奥側のスライド網戸を猫が自分で押し開けられないことを確認してください。押し開けられそうな場合は、結束バンドで固定してください。
④踏板を押して扉がスムーズに閉じることを確認してください。踏板に軽く触っただけで扉が閉じてしまう場合は、フックのひっかかりが深くなるよう調整します。扉が筐体に擦れる場合は、筐体の歪みを矯正します。
⑤捕獲器に他の猫の匂いがついている場合は、猫の匂いを消臭スプレーや水洗いでじゅうぶんに取り去ってください。
(4)捕獲器を快適にする
①捕獲器の上にシーツをかけて網目を隠し、暗くて落ち着いた猫の好きな環境にします。自身の匂いが付いたシーツなどを被せると安心感が増します。捕獲器の中にトイレシートを敷き歩きやすくします。
②捕獲器入口の手前に使用済みのトイレ砂を少量撒くのも効果があります。
③餌はうちの猫が普段食べている好物を使います。焼き魚など匂いの強いものを一緒に盛ると効果的です。
④虫の多い季節に餌を置くさいは、平皿に水を張り、その中にもうひとつ足つきの皿を置いて餌を盛るとナメクジや虫が餌に寄ってきません。
(5)捕獲器の置き場所
①最後に目撃された場所に、土地の所有者の許可を得てから捕獲器を設置します。敷地内での設置許可が得られない場合は、敷地周辺で目撃されたポイントにできるだけ近い場所に設置し、匂いの強い餌で誘き寄せます。
②設置場所は、人が入って来ないような静かな場所を選び、猫の通り道の真ん中ではなく、通り道の脇に並行に設置するほうが効果的です。
③猫は中の餌が気になっても、見慣れぬ捕獲器を警戒して近づいてこないことがあります。そこで、猫が落ち着いて捕獲器をしばらく観察できるよう、捕獲器は茂みや車、物置、軒下などのそばに置きます。茂みの中に隠れてしばらく観察して、危険がなさそうだと思うと用心深い猫でも捕獲器に近づいていきます。
④捕獲器のまわりを人がうろうろすると猫が警戒して捕獲器に近づきませんので、離れた場所から懐中電灯で捕獲器の扉が閉まっているかどうかを確認できる場所を選んで設置します。
⑤捕獲器入口の手前に、ごく少量の餌を置きます。警戒して捕獲器に入らない猫もいますが、捕獲器の外の餌がなくなっていれば、そこになにかしらの動物が来たことがわかります。捕獲器まわりにそれ以外の餌は撒かないでください。その餌で空腹が満たされると、リスクを犯してまで捕獲器に入りません。
(6)捕獲器の管理
①うちの猫の性格や生活パターンにもよりますが、ひとけがなくなる夕方から明け方にかけて捕獲器を設置するのが効果的です。
②夏場は短時間でも熱中症の危険があるので、日中捕獲器を設置してはいけません。
③捕獲器を設置したら、人の気配を感じさせないようその場を離れます。
④捕獲器に動物が入った状態で長時間放置すると怪我や衰弱のリスクが高まりますので、3時間ごとに遠くから扉が閉まっていないかを確認してください。扉が閉まっていなければすみやかに立ち去ります。
⑤もし他の動物がかかってしまった場合は、お互い怪我をしないよう気をつけて、ただちにリリースしてください。感染症のリスクがありますので、手首・腕を引っ掻かれないよう注意してください。もし引っ掻かれたり、噛まれたりした場合は、すぐに傷口を流水でじゅうぶんに流し、病院で処置をしてもらってください。
⑥もし捕獲器にかかった猫の外観がうちの猫に似ていた場合は、今後迷子チラシを見た方からの目撃情報の確認に必要になることがありますので、うちの猫との違いがわかる部分の写真を撮ってからリリースします。
(7)トレイルカメラを設置して観察
①捕獲器にかからない場合は、そもそもうちの猫が捕獲器近くまで来ているのか、来ているが警戒して入らないのかを確認するために、土地の所有者の許可を得てから、トレイルカメラを捕獲器まわりが撮影できる位置に設置します。
②トレイルカメラは暗闇でも動くものに反応して鮮明な写真または動画を撮影してくれます。
(8)猫が捕獲器に入らない場合
一度捕獲器にかかったことがある猫は、よほど空腹にならないと警戒してなかなか捕獲器に入らないことがあります。その場合は時間をかけて捕獲器に慣らします。
①飢えてこないと捕獲器には入らないので、捕獲器に慣らす目的以外の餌は置かないようにします。
②捕獲器の扉を、猫が踏板を踏んでも閉まらないよう、結束バンドで固定しておきます。
③猫が捕獲器を通り抜けられるよう、奥側のスライド扉をはずしておきます。
④捕獲器の近くにトレイルカメラを設置し以下を確認します。
・捕獲器の近くに置いたほんの少量の餌を食べるか:空腹になっているかの確認
・捕獲器入口手前30cmに置いたほんの少量の餌を食べるか:捕獲器をどれくらい警戒しているかの確認
・捕獲器の中のたっぷりの餌を食べるか:捕獲器の中まで入るかの確認
⑤猫が捕獲器の中まで入るようであれば、扉を固定している結束バンドをはずし、奥側のスライド扉を差し込み、捕獲器をしかけます。
⑥警戒して捕獲器に入ろうとしない場合は、2日間は餌を与えず空腹の状態を維持し、捕獲器に入るのを待ちます。
(9)時間をかけて慣らそうとしても踏板式捕獲器に入らない場合
一度かかったことのある踏板式捕獲器とは形状の異なるドロップ式やサークル式の捕獲器を使っての捕獲を試みます。これらの捕獲器は市販されていませんので、自作するかペット探偵に依頼することになります。
(参考)ドロップ式トラップ
(参考)サークルトラップ
ぶじ保護できたときは、すぐに必要な医療ケアを受け、迷子捜しに協力してくださった人たちに報告します。
①夜間に保護した場合、保護した猫が怪我や衰弱をしている場合には、夜間救急動物病院で治療してもらってください。
②保護した猫に特に問題がないように見える場合でも、念のためかかりつけの動物病院で検査してもらってください。(脱水症状、外傷、歯と爪の損傷、ノミ・ダニ・寄生虫、血液検査で感染症などの確認、体重の大幅な減少がないかなど)
③検査が終わるまでは、同居している犬猫や人間への感染症のリスクがあるため、ケージか独立した部屋に隔離をしておいてください。
④喧嘩で噛まれていた場合、3日くらいしてから症状がでることがありますので、注意して観察し腫れや化膿が見つかった場合は動物病院で処置してもらってください。
⑤保護した猫が酷く汚れていなければ、落ち着くまではストレスのかかるシャンプーは控え、自分でグルーミングするのに任せてください。どうしても気になる場合は、猫に刺激の強いアルコールなどが含まれていないペット用のボディタオル、なければ水分をしっかり切った蒸しタオルで、汚れをやさしく拭き取ってください。
⑥もし捕獲時に飼い主さんが噛まれたり、引っ掻かれたりした場合は、感染症のリスクがありますので、すぐに傷口を流水でじゅうぶんに流し、腫れるようであればすぐに病院で処置をしてもらってください。
また、医療ケアではありませんが、保護した猫が落ち着かないことがあります。
猫の性格にもよりますが、保護できたときに飼い主さんが感極まって騒いでしまうと、猫は不安になります。お気持ちはよくよくわかりますが、猫も外で大変な思いをしてきていますので、ここは穏やかにうちの猫にお帰りを言いましょう。
慣れない外に出たことで猫も興奮していますので、落ち着くまでは静かな部屋に隔離しましょう。同居の猫がいる場合は、外の匂いや他の猫の匂いがついていると威嚇されることがありますので、しばらくは一緒にしないようにします。
長くても1週間もすれば落ち着いてきますので、心配せず長い目でみてあげてください。
①迷子が無事に帰ってきたら、目撃情報をくださった方たちと迷子捜しに協力してくださった皆様に報告し、感謝を伝えましょう。
②許可を得て掲示した迷子チラシがあれば、そのチラシに「見つかりました」のメモを貼りつけ、3日ほどしたら撤収します。迷子のことを心配してくださっている地域の方は多いものです。
③迷子届をした交番、保健所、動物愛護センター、清掃事務所や動物病院に保護したことを報告します。
(お願い)
捜している猫が見つかったときはぜひ、迷子の飼い主さんサポート活動の「迷子が見つかりました!」から、保護までの経緯をお知らせください。
チャットボットの捜索プランをさらに精度の高いものにすることと、迷子を捜している多くの飼い主さまのお役にたてる情報発信に活用させていただきます。
お疲れさまでした!
捜索を続けても見つからず、いなくなってから7日をすぎた場合は、捜し方をいなくなって1ケ月以内に変更してください。
ゼンリンが販売する、地名と1軒ずつ表札の名前が記載された白地図です。全国が網羅されており、横約610m×縦約380mのエリアがA3サイズに記載されています。
セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンにあるマルチコピー機を操作して必要なエリアを選択し、プリントアウトします。1枚 400円(税込)。捜索範囲が A3 1枚で収まらない場合は、範囲をずらして印刷して貼り合わせ、大きな地図を作ります。
うちの猫を見つけて素手で捕獲できても、連れて帰る途中で腕からすり抜けて逃げてしまいます。家からほんの10メートルの距離でも、逃げようとする猫を抱っこで逃さないよう連れて帰るのは困難です。捕獲できたら、逃げられないようすぐにキャリーバッグに入れてください。キャリーバッグがない場合は洗濯ネットなどで代用します。
・迷子チラシを印刷会社に発注した場合、届くのに早くても2~4日かかります。それが届くまで、迷子チラシの印刷原稿を自作して、コンビニなどでプリントして近場からポスティングを進めていきます。
・ネットでダウンロードできる迷子チラシ用のテンプレートもありますので、それらを使うと写真と迷子情報を入力するだけで素早く原稿を作成することができます。または、迷子チラシ制作業者に依頼して、印刷物が届くまでの間、印刷データを使わせてもらってください。業者に依頼したほうが、テンプレートを使うよりも特徴が伝わりやすいデザインになります。
・はじめて迷子チラシを作成される飼い主さんは、うちの猫のことを少しでも知ってもらいたくて、写真や文章をたくさん入れてしまいがちですが、これは逆効果です。写真や文章が多すぎると結局なにも覚えてもらえず、見かけても連絡がもらえなかったり、色が似ているだけの猫の目撃情報に振りまわされたりするようになります。
例えば、うちのキジトラ猫の特徴がカギしっぽと右耳カットだった場合、「しっぽの曲がったキジトラ猫」と大きく書き、しっぽと耳カットがわかる写真を添えます。それ以外の情報を割愛することで、キャッチコピーである「しっぽの曲がったキジトラ猫」を覚えていただきます。また迷子チラシには、目撃情報の信憑性をあげるために「できれば写真を撮ってください」と記載します。
ペットレスキューでも、似た猫を見かけた人が迷わず電話をくださるような、シンプルな迷子チラシのデザイン・印刷のご依頼をお受けしておりますので、お申し付けください。
・トレイルカメラとは、野外の動物を自動撮影するための昼間・夜間動体検知カメラです。
・猫などの動物が近づいたことを検知して、写真または動画を撮影してくれます。
・乾電池駆動で防水機能があり、映像は本体のメモリーカードに保存されます。
・うちの猫が置いた餌を食べに来ているのかどうかの確認や、捕獲器まわりでの挙動を観察するのに使います。人の気配をさせることなく、ひと晩中監視してくれるので、迷子猫捜しには大変役立つ道具です。
・トレイルカメラは用途が特殊なため家電量販店では取り扱っていません。ネット通販で購入できますので「トレイルカメラ」で検索して、防水、日本語対応、購入者評価で故障の書き込みが少ないものの中からお選びください。
・スマホでリアルタイムに映像モニターできる WiFi 式のものも販売されていますが、通信機材の取り扱いに慣れておられない場合はシンプルなものを選ばれることをお勧めします。
・知り合いに迷子捜しの経験がある人がいたら持っているかも知れませんので、貸してもらえないか聞いてみてください。小型三脚もあると設置のさい撮影範囲を調整するのに便利です。
・いろいろな種類がありますが、迷子猫の捕獲には「踏板式捕獲器」を使います。踏板の奥に餌を置き猫をおびき入れ、猫が踏板を踏むとスプリングで扉が閉まる仕組みの捕獲器です。
・警戒心が強く素手で捕獲することができない場合や、居場所がわかっても隠れた場所から出てこない場合に使います。
・捕獲器のサイズが小さいと、せっかく中に入って踏板を踏んでも、扉にしっぽや後ろ脚が挟まり閉まりきらず外に出てしまうことがあります。奥行き762 × 幅254 × 高さ254 mm程度の大きさのものを選んでください。
・使用前に、内側に猫が怪我をするような鋭利な突起がないか確認してください。鋭利な突起がある場合はヤスリで丸く研磨します。
・使用前に、奥側のスライド網戸を猫が自分で押し開けられないことを確認してください。押し開けられそうな場合は、結束バンドで固定してください。
・使用前に、踏板を押して扉がスムーズに閉じることを確認してください。捕獲器を少し揺すったり、踏板に軽く触ったりしただけでも扉が閉じてしまう場合は、フックのひっかかりが深くなるよう調整します。扉が筐体に擦れる場合は、筐体の歪みを矯正します。
・捕獲器に別の猫がかかってしまった場合は、お互いに怪我をしないよう気をつけてすぐにリリースして、猫の匂いを消臭スプレーや水洗いでじゅうぶんに取り去ってください。
・知り合いに迷子捜しの経験がある人がいたら持っているかも知れませんので、貸してもらえないか聞いてみてください。保健所や動物病院、保護団体さまから借りられるかも知れませんので尋ねてみてください。一部ホームセンターで販売しているところもあります。ネット通販でも購入できます。
(1)迷子になった時の猫の心理と行動
①普段室内だけで生活している警戒心が強い猫が外に出てしまった場合、外の環境や人が怖いため、自宅からとても近い場所に潜り込んで、数日から数週間ほとんど動かずにじっとしていることが多いです。
②逃げ出した方向の最初にあった、暗くて狭くて奥が深い場所に潜り込もうとします。そこに潜り込んだらしばらく出てきません。警戒心が強い猫は高い確率で自宅から近い場所に身を潜めています。それこそ、すぐ隣のお宅の物置や軒下に潜り込んでいることも多いです。
③警戒心が強い猫は、外敵を警戒して身体をできるだけ晒さないように移動するため、塀や屋根の上に登ったり、道路や橋を渡ったりしようとはしません。建物の壁沿いに移動すれば身体の片面が守られ安心するため、走り込んだ先の道路に囲まれたブロック内で隠れられる場所を見つけて潜り込み、そこにじっとしていることが多いです。
④外に出た原因が大きな物音に驚いてだったり、外に出た直後に飼い主さん家族に追いかけられたり、他の猫に追いかけられたりした場合は、パニックになり身体を晒す危険を顧みず道路を渡ってしまうことはあります。その場合でも、走り込んだ先のブロック内で隠れられる場所を見つけて潜り込み、そこにじっとしています。走り込んだ先のブロック内で隠れられる場所を見つけることができなかった場合は、さらに移動して隠れられる場所を探します。
⑤なかには、慣れない外に出てどうしてよいかわからず、しばらく庭や駐車場の車の下でぼんやりしている猫もいますが、その後安心して隠れられる場所を探して潜り込みます。
⑥外が怖くて隠れている場合、人が入りにくい場所の奥まった隙間に潜り込んでじっとしているので、道から捜しても見つけることが難しく、しばらくは警戒しているので名前を呼んでも出てきません。数日から数週間、隠れた場所からほとんど出てこない猫もいます。
道から捜しても見つからないのは遠くに移動したからではなく、近くに隠れて、ひとけのある時間帯に出てこないために発見できないケースが多いです。
⑦隠れている間は食餌を摂ることができませんが、活動していないためカロリー消費が少なく、数日は衰弱することもありません。しかしいつまでも何も食べないわけにはいきませんので、やがて水と餌を求めてやむなく恐る恐る、隠れた場所からひとけのない時間帯にこっそり出てきて、また隠れることを繰り返すようになります。
水は比較的容易に摂取することができますが、餌場を確保することは容易ではありません。他の猫の生命線としての餌場に新入りとして加わるため、追い払われコンスタントに食べることは難しく、餌を求めて少しずつ移動していきます。
⑧置き餌などの食餌を摂ることができない状況が続くと、生きるためにハンティングを行います。ネズミなどの哺乳類、鳩・スズメなどの鳥類、トカゲ・カエルなどの爬虫類、昆虫類を捕食します。
⑨しかし、すべての猫がいつも狩りを成功させることができるわけではないため、人が与えてくれる餌を確保することができなければ常に空腹状態が続き、よりよい餌場を求めて移動していくことになります。
(2)日にちの経過による行動パターンの変化
①外に出てしばらくは、空腹よりも警戒心が勝るため、自宅からとても近い場所に潜り込んで、ほとんど動かずにじっとしていることが多く、目撃されることもありません。
②数日から数週間ほど経過すると、空腹に耐えられなくなり、隠れていた場所から出て餌場や水場を見つけるために恐る恐る周辺の探索をはじめます。食餌できる場所、時間帯、餌場に集まる他の猫の状況を把握し、できるだけ安全に食餌できる方法をさぐっていきます。ひとけのない時間帯にしか行動しないため、目撃はされにくいです。
③数週間から1ヶ月ほど経過すると、まわりの環境にも慣れて、周辺の下調べも終え余裕が生まれてくるため、よりよい餌場を求めて少しずつ移動していきます。行動範囲や活動する時間も増えてくるため、目撃される可能性が高くなってきます。
④1ヶ月以上経過すると、安定して餌を摂れる場所を見つけ、移動をやめ定着している可能性が高くなります。決まった餌場に現れるようになるため、その周辺から目撃情報を得られることがあります。
警戒心が強く、外で暮らした経験がない、または室内だけで生活している年数が外で暮らしていた年数よりも長い猫が外に出てしまった場合、高い確率で自宅から近い場所に身を潜めています。数日から数週間ほとんど動かずにじっとしている猫もいます。
道から捜しても見つからないのは遠くに移動したからではなく、近くに隠れて、ひとけのある時間帯に出てこないために発見できないケースが多いです。
近隣の敷地に入れさせていただき軒下、物置の中、簡易物置の下、ウッドデッキの下など猫が潜り込めるスペースを懐中電灯を使い徹底的に捜してください。
隠れている間は食餌を摂ることができませんが、活動していないためカロリー消費が少なく、数日は衰弱することもありません。食べるものがない屋根裏に隠れていた猫が2週間後にぶじに保護されたケースもあります。
しかしいつまでも何も食べないわけにはいきませんので、やがて水と餌を求めてやむなく恐る恐る、隠れた場所からひとけのない時間帯にこっそり出てきて、また隠れることを繰り返すようになります。
水は比較的容易に摂取することができますが、餌場を確保することは容易ではありません。他の猫の生命線としての餌場に新入りとして加わるため、追い払われコンスタントに食べることは難しく、餌を求めて少しずつ移動していきます。
猫は水に濡れるのを嫌がりますので、雨をしのげる場所に潜り込んでじっとしています。そのため雨の中を捜し歩いても見つかりません。
雨が降っている間は移動していくこともありませんので、雨があがってから捜してください。
猫は暑い日は風通しのよい日陰を、寒い日は日当たりがよくて風の通らないところを見つけて暑さ寒さをしのいでいます。
・夏の日中は、車の下、日陰になった塀の上、屋根裏、縁の下など風通しのよい日陰で休み、夕方から朝方にかけて行動します。
・冬は比較的暖かい日中に行動し、夜は倉庫、資材置場、床下など風があたらない暖かい場所をねぐらにしています。
ただし、暑さ寒さが続くと体力を奪われますので、できるだけはやめに保護できるよう作業を進めてください。
普段から警戒心が強く触るのがむずかしい猫はもちろん、家にいるときは家族に懐いている猫でも外に出れば警戒心が高まってしまいます。
警戒心が高まっているところに、飼い主さん家族が興奮して捕まえようと近づいたり、追いかけたりすれば、猫は逃げてしまいます。逃げる猫を人が素手で捕まえることはほぼできません。
何度も追いかけてしまうと、さらに猫の警戒心が高まり、今後飼い主さん家族を見ただけでも逃げるようになってしまいます。移動して居場所がわからなくなってしまうこともあります。
見つければ捕まえたくなりますが、まずは低くしゃがみ「落ち着いた声」で名前を呼びながら猫の状態を観察して、素手での保護ができそうかどうか見極めてください。むずかしそうであれば、いったんその場を離れ捕獲器を使っての捕獲を試みます。
一度捕獲器にかかったことがある猫は、よほど空腹にならないと警戒してなかなか捕獲器に入らないことがあります。
家のまわりに捕獲器があることで、警戒して家に近寄ってこようとしない猫もいます。
警戒してすぐには捕獲器に入ろうとしない場合は、餌を与えず空腹の状態を維持し、時間をかけて捕獲器に慣らしていきます。
トレイルカメラが手元にない場合は、ダンボールで「猫ホイホイ」を自作し代用します。
トレイルカメラに比べ確認の精度は劣りますが、まわりに似た毛色の猫がいなければ、この方法は有効です。
①ダンボールで猫が身をかがめて入れるくらいの細長い四角い筒を作ります。
②ダンボールの筒の内側の上面と側面に布粘着テープを丸めて貼り付けます。
③ダンボールの筒の中央に餌をたっぷりと置きます。
④ダンボールの筒でも警戒して入らない猫もいるので、近くまで来たかどうかを確認するために、「猫ホイホイ」の入口近くにほんの少量の餌を置いておきます。
⑤猫が餌を食べにダンボールの筒に入ると、丸めた布粘着テープに毛がつくので、うちの猫のものかどうかを確認します。