2018.11.22
コラム
ペットロスについて
ペットと共に生活をおくる場合、必ず別れの時が訪れます。飼主の元で生涯をまっとうする場合、病気や事故、事情により飼えなくなる等、ペットとの別れはいつでも辛く悲しいものです。
ペットを愛したことのある人なら、伴侶動物を亡くした喪失感を理解できることでしょう。ペットには父母であり、友人、恋人、子供など様々な要素がありいろいろな場所、 月日を共にしたかけがえのない存在です。ペットを失ったことへの反応はとても深刻で情緒的な苦痛だけでなく、身体的な障害の原因となる可能性もあります。ペットを失った心痛にうまく対応するにはどうすれば良いのかと、よく相談を受けます。
それにはまず、自らが抱いている喪失感を認め、それに伴うストレスを受け入れ、悲しみに身をまかせきることが大切です。
人生のある期間を共に歩み、様々な事をわかちあってきた伴侶動物を失うことに対して、悲しむのはあたりまえですよね。あたりまえの正常な感情を無理に抑え込み、きちんと対処しないと苦痛がやわらげられないまま体の中に留まるのです。
やがて、ペットロスを遅れて体験することになり、抑えていた苦痛が表面化し、現在と過去の喪失体験の両方を体験することになり、二重の苦しみを負うことになります。
ペットの喪失が既成の事実であり、関係が終わったことを認め、喪失によって起こる感情と生活の変化に対応することです。自責、罪悪感、躁鬱、無力感など、感情の起伏がおこり、数週間~数ヶ月の苦痛を経験しなければなりません。
また、私共の職業に深く関わる生き別れにおいて、無事発見されない場合は、別れが突発的におこるため、なかなか気持ちの整理がつけにくく、死別の場合にくらべ、別れに対しての心の準備段階がまったくありません。
失踪したペットを捜索することによる身体的な疲労、ついつい悪い方向に考えてしまうペットの行方、そしてペットを失踪させてしまった事に対しての罪悪感が繰り返し襲ってきます。
行方不明に関しては、まず冷静に状況を分析し捜索を行うこと。感情の乱れが捜索の効率を悪くし、発見されるはずのペットが発見されないケースが数多くあります。
私共にご依頼頂く場合でも失踪してから数週間~数ヶ月経過してからという場合も多く、クライアントから『あの時にこれさえしていれば』と言う声が多々あり、冷静に状況を判断して効率良く捜索を行う事が重要です。そして、自分で捜索する期間を定め、その期間はベストを尽くす事です。
万一、それで発見されない場合でも、自分自身納得できるまで捜す事によって、気持ちの整理がつけられるのではと思います。
先日ある方から、10年前に飼っていた犬が行方不明になりテレビを見てペットレスキューを知ったとのお電話を頂きました。
その方は『失踪当時でその犬は15才だったので、今はもうこの世にはいないでしょう。しかし、私の犬がどの様な生涯を送ったのか調べてほしい。この10年間1日もあの子の事を忘れたことはない。あの時にちゃんとした捜索を行っていれば・・・・』という内容でした。
この様に生き別れということは、場合により一生引きづってしまうものなのだと認識し、なお一層の努力が必要なのだと痛感致しました。
ペットに対する愛情とは時に、苦痛や痛みを伴うものだと思います。
しかし、痛みを伴うからこそ、より深い関係をきずけるのだと思っています。